引き続き逸ノ城の幕内人生をみていこう。
2019年、特筆すべきは三月場所で14勝1敗をあげた
ことである。逸ノ城は前頭4枚目であった。大関陣
の高安・豪栄道・栃ノ心戦はあった。1敗は栃ノ心
によるものだった。
それでいて横綱白鵬・鶴竜戦はなかった。優勝は15
戦全勝の白鵬であった。これが42回目の優勝であっ
た。平成最後の場所で大いなる疑問を残すことにな
った。
2019年九月場所途中休場、十一月場所全休であった。
そのため、2022年は十両からのスタートとなった。
十両3場所で幕内に戻ったが下位であった。この年
コロナの影響で三月場所無観客開催。五月場所が中
止になっている。
2021年後半、上位に戻ってきた。この年、白鵬が引
退し、照ノ富士が横綱に昇進した。横綱と対戦しな
がら1度も勝てない初の年になった。
2022年、ついにこのときがきた。七月場所はコロナ
部屋ごと休場が多発し、出場力士が減少しまくった
場所であった。3敗逸ノ城、照ノ富士で迎えた千秋
楽。逸ノ城の対戦相手は7勝7敗の宇良。立ち合い
逸ノ城は左上手を素早くがっちり引いて胸を合わせ
る体勢になった。宇良低く構えるも逸ノ城上手から
引きつけ寄り立てると勝負あった。
結びの一番照ノ富士は大関貴景勝と対戦した。両力
士あたり合ったあと、貴景勝右に動いて揺さぶる。
力相撲の突き押しの激しい応酬となり、照ノ富士が
正面土俵足を踏み出した。あっけない決着となった
が、これで逸ノ城の初優勝が決定した。
だが逸ノ城は栄光から一転した。11月から師匠であ
る湊(元湊富士)親方との確執が伝えられた。そん
ななか年末に理事会である発表があった。発表は別
の件であった。逸ノ城が外出禁止期間にモンゴル料
理店で食事をした件であった。それも2020年8月、
2021年11月をいまになっての処分となった。さらに
接待ではなく、短時間ということで1場所出場停止
となった。
2023年一月場所出場停止で三月場所は十両だった。
だが14勝1敗で2回目の優勝となった。五月場所、
幕内に復帰したばかりで突然引退した。様々な謎
を残したまま逸ノ城は土俵から姿を消した。