昭和36年九月場所後、大鵬と柏戸が同日横綱に昇進
した。物理的には2場所連続優勝の大鵬が先に決ま
ったとみるのが常識である。柏戸は直前3場所優勝
がなく、大鵬と抱き合わせ的に横綱になった。大関
の勝率が大鵬と遜色がないが理由だったが、基準に
ないことをとってつけたように言うのはいかにもご
都合主義だった。
これからは大鵬と柏戸の時代が来る。柏鵬時代来る
と思えた。しかし、歴史はそうは動かなかった。実
際は大鵬時代であった。
期待の若手力士が出現すると〇〇時代という風潮は
その後もあった。角界のプリンス貴ノ花と土の香り
がする力士大受の貴受時代。蔵前の星輪島と貴ノ花
の貴輪時代。大錦が新入幕で横綱・大関を倒し、三
賞を独占した。そうすると怪童北の湖と時代を築く
と期待され、湖錦時代が来ると騒がれた。
しかし、こうした時代はついに来なかった。来たの
は輪湖時代であった。それも年齢差があったので、
すれ違いの部分があった。
現代は期待度が低いのかあるいは慎重なのかそうい
う声はない。期待の若手力士もなかかなか飛躍でき
ないでいる。2022年は優勝者の顔ぶれがすべて違っ
た。そこには若手の名前はなかった。若隆景は優勝
したとき27歳で現在は28歳になった。誰が強くなり
時代を築くのか。歴史の歯車は静かにまわっている。