九月場所最大の驚きは、幕下朝乃山の敗北であった。
先場所、三段目7勝で優勝した朝乃山は九月場所
幕下15枚目に番付を戻してきた、これは7勝したら
十両昇進が可能な位置である。元大関朝乃山は幕下
でも快調に白星を重ねていった。ところが思いもよら
ない事態が待ち受けていた。11日目5勝同士で対戦
した勇磨の突き落としにばったり両手をついてしまっ
た。
朝乃山に土をつけた勇磨とはどんな力士なのだろう
か。プロフィールは以下である。
勇磨 大阪府出身 阿武松(元大道)部屋 24歳
幕下在位通算12場所、最高位幕下10枚目・突き押し
相撲。175センチ119キロ。特別目立った力士ではない
が、組まずになおかつ圧力をまともに受けなかった
ことが勝因である。これをもって朝乃山の躓きといえ
るのだろうか。
同じ出場停止組の阿炎は幕下を2場所連続優勝で十両
入りした。このとき平戸海・寺沢(のちの朝乃若)
と対戦している。十両は優勝1場所を含む2場所で
幕内に復帰した。幕下スタートで4場所を要しての
結果であった。同じく出場停止組の竜電は、幕下7勝
優勝-6勝1敗で十両入りした。幕下では熱海富士と
対戦している。幕下の1敗は西川(のちの豪ノ山)
によるものである。十両は2度の優勝を含む3場所で
九月場所幕内に復帰した。復帰場所で11勝4敗の成績
をあげたのは記憶に新しい。
ケガによる転落組はどうだろうか。栃ノ心は平成25年
七月場所5日目、徳勝龍に勝ちながら右膝前十字靭帯
断裂、右膝内側側副靭帯断裂で大ケガを追って途中
休場した。このあと3場所全休した。そのため地位は
幕下の55枚目まで降下した。栃ノ心の奇跡はここから
始まった。幕下2場所十両2場所の4場所連続優勝で
幕内復帰を果たした。十両では逸ノ城に優勝決定戦で
勝っている。元小結ながら十両全勝優勝もしている。
照ノ富士はひざのケガと糖尿病で大関を陥落しただけ
でなく、序二段まで番付を下げた。そこからの復帰は
序二段7勝。優勝決定戦で狼雅に負けている。三段目
6勝1敗、幕下6勝1敗、6勝1敗、7勝優勝であ
る。1敗が3場所ある。十両は2場所で1場所優勝
して幕内に復帰している。
宇良は1度復帰を目指しながらケガで挫折している。
2度目の復帰では序二段13勝1敗(優勝1回)、
三段目7勝優勝。幕下12勝2敗で十両に戻った。十両
は4場所かかって幕内に復帰した。十両優勝が1回
ある。
こうしてみると朝乃山は1敗を気にすることはないの
では。過去は修正できない。きたる十一月場所にむけ
て同じ失敗をしないよう臨んでいただきたい。朝乃山
ファンは幕内復帰を待っている。