横綱は優勝を宿命づけられた地位である。その横綱が優勝から遠ざかった連続場所数のワーストは大乃国の20場所連続、続いて曙の18場所、吉葉山と照國の17場所。そして横綱優勝(幕内最高成績)が一度もない横綱は9人で、前田山・武蔵山・鳳・男女ノ川・吉葉山・2代西ノ海・安藝ノ海・双羽黒・3代若乃花である。この記事では、常陸山以降の東京横綱51人について、田口が作成した番付を1人1行の一覧にして載せている。
対象は実質的に横綱が地位化した常陸山以降の東京横綱。宮城山は東西合併以降、大正15年の優勝制度以前は幕内最高成績で数え、現役の照ノ富士は除外している(2022年作成の集計)。個別の歩みは横綱が優勝から遠ざかった理由(力士別の詳説)もあわせてご覧いただきたい。
横綱優勝が一度もない9人
横綱に上がりながら、横綱在位中に一度も優勝(幕内最高成績)がなかったのが下の9人である。田口の作成した番付では、この9人の場所数の欄にだけ色が付けられている。本文で田口が書いている「9人に及んでいる」という数とも一致する。
| 横綱 | 連続優勝なし | 備考 |
|---|---|---|
| 吉葉山 | 17場所 | 横綱在位場所数と同じ |
| 男女ノ川 | 12場所 | |
| 3代若乃花 | 11場所 | 2場所連続優勝で昇進しながら横綱優勝はなかった |
| 鳳 | 11場所 | |
| 安藝ノ海 | 8場所 | |
| 武蔵山 | 8場所 | |
| 双羽黒 | 8場所 | 優勝の経験がないまま横綱に昇進した |
| 前田山 | 6場所 | |
| 2代西ノ海 | 5場所 |
田口が本文で個別に触れているのは吉葉山と、横綱昇進の条件で書いている3代若乃花、そして優勝の経験がないまま昇進した双羽黒である。
横綱51人の連続優勝なし場所数(多い順)
田口の番付は東西に分かれた形で51人を並べている。それを場所数の多い順に組み直したのが下の表である。同じ場所数の力士は番付の並び(東→西)の順にしている。
| 連続優勝なし | 横綱 | 横綱優勝 | 番付の位置 |
|---|---|---|---|
| 20場所 | 大乃国 | あり | 東22枚目 |
| 18場所 | 曙 | あり | 西21枚目 |
| 17場所 | 吉葉山 | 一度もなし | 東21枚目 |
| 17場所 | 照國 | あり | 西20枚目 |
| 15場所 | 栃ノ海 | あり | 東20枚目 |
| 14場所 | 2代若乃花 | あり | 西19枚目 |
| 14場所 | 佐田の山 | あり | 東19枚目 |
| 13場所 | 2代梅ヶ谷 | あり | 西18枚目 |
| 13場所 | 北の湖 | あり | 西17枚目 |
| 13場所 | 貴乃花 | あり | 東18枚目 |
| 12場所 | 千代の山 | あり | 東16枚目 |
| 12場所 | 柏戸 | あり | 西16枚目 |
| 12場所 | 男女ノ川 | 一度もなし | 東17枚目 |
| 12場所 | 隆の里 | あり | 西15枚目 |
| 11場所 | 3代若乃花 | 一度もなし | 西14枚目 |
| 11場所 | 日馬富士 | あり | 東13枚目 |
| 11場所 | 朝潮 | あり | 西13枚目 |
| 11場所 | 稀勢の里 | あり | 東14枚目 |
| 11場所 | 羽黒山 | あり | 西12枚目 |
| 11場所 | 鳳 | 一度もなし | 東15枚目 |
| 10場所 | 3代西ノ海 | あり | 東12枚目 |
| 10場所 | 鏡里 | あり | 西11枚目 |
| 9場所 | 初代若乃花 | あり | 西9枚目 |
| 9場所 | 宮城山 | あり | 東11枚目 |
| 9場所 | 常陸山 | あり | 東9枚目 |
| 9場所 | 輪島 | あり | 東10枚目 |
| 9場所 | 鶴竜 | あり | 西10枚目 |
| 8場所 | 北の富士 | あり | 東7枚目 |
| 8場所 | 双羽黒 | 一度もなし | 西8枚目 |
| 8場所 | 安藝ノ海 | 一度もなし | 西7枚目 |
| 8場所 | 栃錦 | あり | 西6枚目 |
| 8場所 | 武蔵山 | 一度もなし | 東8枚目 |
| 7場所 | 北勝海 | あり | 東6枚目 |
| 7場所 | 武蔵丸 | あり | 西5枚目 |
| 6場所 | 前田山 | 一度もなし | 東5枚目 |
| 6場所 | 栃木山 | あり | 東4枚目 |
| 6場所 | 白鵬 | あり | 西4枚目 |
| 5場所 | 2代西ノ海 | 一度もなし | 西3枚目 |
| 5場所 | 三重ノ海 | あり | 西2枚目 |
| 5場所 | 千代の富士 | あり | 東1枚目 |
| 5場所 | 双葉山 | あり | 東小結 |
| 5場所 | 大錦 | あり | 西1枚目 |
| 5場所 | 大鵬 | あり | 西小結 |
| 5場所 | 玉錦 | あり | 東2枚目 |
| 5場所 | 琴櫻 | あり | 東3枚目 |
| 4場所 | 旭富士 | あり | 西関脇 |
| 4場所 | 朝青龍 | あり | 西大関 |
| 4場所 | 東富士 | あり | 東関脇 |
| 3場所 | 太刀山 | あり | 東横綱 |
| 3場所 | 常ノ花 | あり | 西横綱 |
| 3場所 | 玉の海 | あり | 東大関 |
この一覧の出どころと、1か所だけ本文と合わない行
上の51人の表は、この記事に載せている田口作成の番付画像を1行ずつ文字に起こしたものである。記事のなかほどにある「連続優勝なし ワースト番付」の表は、田口が本文で語った力士を抜き出したもので、こちらは番付に載っている全員を並べている。
1か所だけ、番付と田口の本文で数が違う。北の富士で、番付では8場所、本文(力士別の詳説)では「引退した場所を含む5場所連続」と書かれている。本サイトでは本文の数字を優先する決まりにしているため、抜粋の表では5場所、番付を起こしたこの表では8場所と、それぞれの出どころのまま載せている。どちらかに寄せる書き換えはしていない。
横綱 連続優勝なし ワースト番付
下が田口が作成した「横綱優勝なし連続場所数番付」である。横綱がどれだけの場所、優勝から遠ざかったかを一覧にした。

このうち、記録の大きい横綱を場所数の多い順に並べたのが下の表である。数字はいずれも本文中で田口が記した連続優勝なしの場所数で、その横綱の最長記録にあたる。
| 横綱 | 連続優勝なし | 備考 |
|---|---|---|
| 大乃国 | 20場所 | ワースト。3年2場所におよび、28歳で引退 |
| 曙 | 18場所 | 優勝11回。9回目と10回目の優勝の間、6場所休場 |
| 吉葉山 | 17場所 | 横綱優勝が一度もなし。横綱在位場所数と同じ |
| 2代若乃花 | 14場所 | 頚椎の疾患もあり、引退までの記録 |
| 北の湖 | 13場所 | 晩年。うち8場所が休場 |
| 柏戸 | 12場所 | ほかに11場所連続が2回ある |
| 羽黒山 | 11場所 | アキレス腱切断が影響。ほかに6・5場所連続 |
| 輪島 | 9場所 | 学生出身で唯一の横綱。ほかに8場所連続 |
| 鶴竜 | 9場所 | ほかに8・7場所連続 |
| 大鵬 | 5場所 | 5場所すべて休場。明けてから45連勝 |
| 双葉山 | 5場所 | 引退前の晩年 |
| 北の富士 | 5場所 | 引退した場所を含む |
| 琴櫻 | 5場所 | 横綱優勝1回。翌場所から引退まで |
| 三重ノ海 | 5場所 | 大関陥落後に横綱昇進。引退まで |
| 朝青龍 | 4場所 | 晩年を迎えず引退 |
| 東富士 | 4場所 | 連続優勝がなかった |
| 旭富士 | 4場所 | 短命だった |
| 太刀山 | 3場所 | 横綱最後の3場所のみ最高成績でなかった |
| 玉の海 | 3場所 | 新横綱から3場所。現役のまま死去 |
ワースト記録の横綱たち

ワーストは大乃国の連続20場所である。3年2場所にわたって優勝から遠ざかり、師匠の元魁傑・放駒が引退を促したのもやむを得なかった。大乃国は28歳で土俵を去った。次に長いのが曙の18場所連続で、優勝11回を誇る横綱にしては意外な記録である。9回目の優勝から10回目の優勝までの間に起き、6場所の休場をはさんでいる。吉葉山にいたっては、ついに横綱優勝がなかった。17場所連続優勝なしは、そのまま吉葉山の横綱在位場所数になっている。
名横綱でも優勝なしは続いた
強豪をもってしても、優勝なしの時期は避けられない。双葉山の5場所連続は引退前の晩年のことだった。大鵬の5場所連続はすべて休場で、休場明けの場所から45連勝を達成する。連勝は誤審でストップし、汚点を残した。北の湖は晩年に13場所連続を記録し、うち8場所が休場だった。学生出身で唯一横綱になった輪島は、腰の故障で昭和50年三月場所から3場所連続休場し、この時期に8場所連続優勝なしを記録。その約2年後には9場所連続も記録している。

玉の海「こんな横綱ってあるか」
玉の海は現役のまま亡くなった影響で、優勝なしは新横綱から3場所連続にとどまった。3場所目は9勝6敗で「こんな横綱ってあるか」と言われたが、この声が玉の海を奮起させ、安定感のある横綱に変えた。横綱4場所目からの1年間は84勝6敗とほとんど負けなかった。現役で亡くなる悲劇さえなければどこまで到達したか、その可能性が大きかっただけに惜しまれる。一方の太刀山は、横綱最後の3場所のみ最高成績でなかった。やはり大変な横綱だった。
玉の海の死因と、現役のまま亡くなった横綱3例(谷風・玉錦・玉の海)の最期は「横綱の現役死亡3例」で詳述している。
横綱優勝が一度もない横綱は9人

横綱優勝(幕内最高成績)が一度もない横綱は、9人に及んでいる。いささか多すぎるといえる。代表が吉葉山で、17場所連続優勝なしがそのまま在位場所数になった。横綱優勝1回どまりの力士もいる。柏戸は連続12場所のほかに11場所連続を2回、鶴竜は9・8・7場所連続、羽黒山は11・6・5場所連続を記録した。羽黒山はアキレス腱切断が響いている。横綱がピンからキリまで存在することが、こうした記録からも見てとれる。
横綱の優勝なし記録についてよくある質問
横綱の連続優勝なしが最も長いのは誰ですか?
大乃国です。連続20場所、3年2場所にわたって優勝から遠ざかりました。これがワースト記録です。
横綱優勝が一度もない横綱はいますか?
9人います。代表が吉葉山で、17場所連続優勝なしがそのまま横綱在位場所数になりました。横綱優勝1回どまりの力士もいます。
優勝11回の曙でも優勝なしは続いたのですか?
続きました。9回目と10回目の優勝の間に18場所連続で優勝がなく、6場所の休場をはさんでいます。強豪でも優勝なしの時期は避けられません。
この番付の対象範囲は?
実質的に横綱が地位化した常陸山以降の東京横綱です。宮城山は東西合併以降、大正15年の優勝制度以前は幕内最高成績で数えています。現役の照ノ富士は除外しています。
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