一山本が予想に反して入幕を決めた。十両
8枚目で10勝5敗での入幕だから、かなり
ラッキーな昇進であった。一山本は相撲少年
であった。3人兄弟の末っ子だが、4つ違い
の一番上の兄の影響で小学2年生から相撲
教室で相撲を身につけていった。それは中学、
高校と続いた。中学時代は同郷(北海道)の
矢後と対戦している。大学は中央大学に進学
した。一山本は学生出身なのである。近大の
朝乃山とは同学年である。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2021/06/一山本A-1024x226.jpg)
卒業後は福島町役場に就職した。福島町は
千代の山・千代の富士の出身地である。役場
では今度は相撲の指導者となって教えていた。
しかし、23歳と若かったので、もう一度真剣
に相撲に取り組もうと思い、大相撲への入門
を決意した。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2021/06/170326千秋楽十両幕下以下-89序の口優勝-e1624330004523.jpg)
本来新弟子検査は23歳という年齢制限があっ
た。一山本は23歳を超えていた。その一方で
相撲やほかの競技で実績がある場合、理事会
が承認すれば25歳未満でも新弟子検査が受け
られるという規定があった。こうして一山本
は元若嶋津の二所部屋に入門した。公務員を
辞めるにあたって、両親は反対したという。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2021/06/190520九日目幕下以下-1200豊昇龍対一山本-e1624330052967.jpg)
前相撲を経て序ノ口で優勝した。序二段、
三段目も1場所で突破した。幕下は11場所
かかった。本人は公務員を辞めて入ってきた
ので、どうしても十両になりたかった、と
語っている。出世はけして遅いわけではない。
通常ならむしろ早いほうである。ただ、学生
出身では時間がかかったほうである。北勝
富士は序ノ口から7場所で新十両を決めた。
炎鵬は5場所を要して十両入りした。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2021/06/190717十一日目幕下以下-1139新十両.jpg)
新十両のころは123キロだった。2019年七月・
九月場所の十両2場所は9勝6敗とまずまず
の成績を残した。霧馬山に2勝している。
迎えた十一月場所、十両3場所目は思いがけ
ないことが待ち受けてきた。初日の旭大星で
ケガをして休場に追い込まれたのである。
左ひざ関節捻挫であった。この場所2日から
休場した。番付は幕下まで下がった。幕下
1場所を全休して昨年(2020年)三月場所
から出場した。幕下6場所を経て、今年(2021
年)の三月場所十両に復帰した。不運の後の
幸運で十両2場所で入幕となった。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2021/06/210523千秋楽十両幕下以下-1108こと勝峰戦-e1624330080143.jpg)
一山元は序ノ口から25場所かかって入幕を
果たした。途中まわり道があったが、27歳
での新入幕であった。136キロ、得意技は突き
押しである。幕尻だけに勝ち越しが求められ
る。
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