大相撲

勢の土俵歴

七月場所を前に勢が引退した。今年(2021年)
の一月場所、十両13枚目と下に1枚残しだけ
の地位に追い込まれた。千秋楽を迎え、6勝
8敗で優勝争いトップの剣翔と対戦すること
になった。勝てば十両残留が確定する大事な
一番だった。ところが、勢は休場してしまっ
たのである。これで勢の幕下落ちが決定した。
勢は幕下2場所を全休した。そして引退した。

<勢最後の一番大翔鵬戦>

勢はどんな土俵歴を刻んできたのか。改めて
ふり返ってみよう。勢はとにかく幕下が長か
った。十両に上がれずに終わるのでは、と
思った時期があったほどである。結局序ノ口
から38場所かかって十両に昇進した。幕下の
勢で忘れられないのは2006年の九月場所で
ある。

それは佐渡ヶ嶽(元琴ノ若)部屋の琴冠佑
との一番後におきた。土俵では張り手をまじ
えた激しい相撲になった。敗れた琴冠佑は
勢の支度部屋までのり込み、勢いを殴打する
行為にでたのだ。プロレスにもない展開で
ある。琴冠佑はこの場所限りで引退する予定
だった。ところが、師匠の佐渡ヶ嶽は琴冠佑
の暴走にカンカンとなった。場所の途中で
引退させてしまった。勢は幕下でとんでも
ない目にあったわけである。

<幕下時代の勢>

幕下以下では優勝がなかった勢だが、新十両
の場所(2011年十一月場所)12勝3敗で優勝
している。翌場所10勝5敗で入幕を決めた。
ところが幕内では勝ち越せず、エレベーター
を繰り返していた。幕内に定着したのは2012
年十一月場所からである。

<新入幕>

横綱・大関と対戦したのは幕内定着3場所目、
新入幕から7場所目の2013年三月場所であっ
た。横綱は日馬富士・白鵬、大関は稀勢の里・
琴欧洲(この場所途中休場)・鶴竜・琴奨菊
であった。琴奨菊戦はなぜかなかったが、
横綱・大関戦は4敗、成績も4勝11敗と完敗
した。2013年は上位戦が2場所あったが、
横綱・大関には勝てなかった。そんななか、
幕内中位、11勝4敗で敢闘賞を受賞した。

2014年は上位戦が4場所に増加した。横綱
には勝てなかったが、大関琴奨菊に3勝した。
幕内中位で大勝して2回目の敢闘賞を受賞
している。またこの年、小結に昇進した。
2015年は1勝14敗、2勝13敗と大敗した年で
あった。同時に11勝4敗、12勝3敗と大勝
している。この活躍で敢闘賞を2回受賞して
いる。

<2014年1月 大関琴奨菊から勝利>

変化があったのは2016年であった。横綱戦に
初勝利した。鶴竜から2勝、白鵬から1勝
した。しかし、横綱に勝った場所はいずれも
負け越している。三月場所では横綱・大関戦
は部分対戦であったが、10勝して翌場所は
最高位の関脇に昇進している。2017年は横綱・
大関とフル対戦して勝ち越している。また、
横綱戦は4勝(1不戦含む)6敗の成績を
残した。鶴竜、白鵬、稀勢の里から勝利した。

<2016年7月 横綱白鵬を倒す>

2018年からは下降線をたどっていった。年齢
は31歳になっていた。横綱・大関戦は勝て
なくなっていた。2019年は十両落ちがあった。
それは2020年も変わらなかった。明らかに
晩年にはいっていた。2021年、幕下落ちでは
土俵にあがることはなかった。33歳、ついに
勢は引退を決意した。今後は年寄春日山とし
て後進の指導にあたることになる。親方人生
に幸あらんことを願わずにはいられない。

朝からゲリラ豪雨がありました。
興味深いテーマをこれからもお届けします。

 

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  • この記事を書いた人

denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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