引き続き大栄翔の相撲内容を検証していこう。
採点は5段階で、細かく評価するため0.5を
加点減点することにした。採点基準は勝敗で
はなく、大栄翔がどれくらい自分の力を発揮
したかにおいた。
■8日目 輝
大栄翔、あたって突き押し。だが、輝が逆襲
の突きで攻め込む。大栄翔、土俵際左へまわ
り込んで青房下、とったりで逆転勝ちした。
輝の思わぬ反撃で後退し、かなり危ない相撲
だった。
3点
■9日目 宝富士
大栄翔、あたって突き起こし、攻め立てる。
だが宝富士やや余裕でこらえ、左にまわり
こみながら気をみてはたき込んだ。大栄翔の
突き押しが宝富士に通用せず、ついに初黒星
となった。
3.5点
■10日目 北勝富士
北勝富士の馬力は要注意だが、今場所はもう
ひとつ元気がない。大栄翔、あたって突き押し
で北勝富士を土俵際に追い込む。まわり込も
うとする北勝富士を休まず追撃して突き出し
た。
5点
■11日目 阿武咲
阿武咲はここまで6勝4敗。関脇照ノ富士・
隆の勝、大関貴景勝に勝っている。大栄翔
立ち合いあたり勝って、押し込むと阿武咲
後退。だが、阿武咲左に動いて左から突き
落とすと大栄翔は勢い余って土俵を飛び出し
た。大栄翔は相撲に勝って勝負に負けた。
2敗目。
4点
■12日目 明生
両者あたって突き合い。大栄翔はたきをみせ
るが、再び突き合い。大栄翔まさって出るが、
明生がいなし。大栄翔残して追撃するところ
を明生いなして右でまわしをつかむ。チャン
スとばかりに明生寄り立てる。向こう正面
土俵に詰まった大栄翔。そこで左からすくっ
て俵の上を伝わってまわり込むと相手がいな
くなった明生の左ひじが早く落ちた。物言い
がついたが、大栄翔の勝ちとなった。
3.5点
■13日目 竜電
今場所の竜電には怖さがない。竜電戦が組ま
れることそのものが意外であった。大栄翔
あたって突きおこし、そのままもっていった。
優勝戦線は正代と2敗で並んだままである。
5点
■14日目 玉鷲
玉鷲には上位に定着していたころのかつての
パワーはない。大栄翔弾丸のようなあたり。
激しく突き起こしての連続攻撃。気をみて
はたきこんだ。土俵際まで下がってのはたき
になった。正代が負けて単独トップに立った。
4点
■千秋楽 隠岐の海
大栄翔にとって、この一番に勝てば優勝。
負けるともつれる可能性がでてくる。隠岐の
海としても勝ち越しがかかる一番。そうした
背景のなかで勝負がおこなわれた。大栄翔
鋭くあたって突き押しで一直線に突き出した。
この瞬間大栄翔の初優勝が決定した。
5点、
大栄翔は8日目以降33点の相撲内容であった。
15日間を通して67.5点であった。これは100
点満点で90点に相当する。大栄翔は高得点で
優勝の栄冠に輝いたことになる。
(この項目終わり)
時津風(元時津海)親方騒動が深刻な問題に。
興味深いテーマをこれからもお届けします。