四股名あれこれ 動物編2|熊・獅子・狼・猪・象・牛・猿と鳥の字がつく四股名(猪王山=いおうざんほか)

四股名に動物の字が入った幕内力士のうち、熊は4種類(荒熊・熊ヶ嶽・三熊山・大熊)、獅子も4種類(獅子ヶ嶽・琴獅子・黒獅子・若獅子)あった。少数派は狼が2種類(翔天狼・青狼)、猪・象・牛・猿が1種類ずつで、猪王山は「いおうざん」と読む。鳥の字は大鳥居・鳥井崎・鳥羽の山がいる。

対象は番付が現存する宝暦7年10月以降の江戸・東京の幕内(上段)力士(田口 通廣の2020年10月の記事)。動物編は全4回で、この回は熊・獅子・狼・猪・象・牛・猿と鳥。

この連載の数え方(田口 通廣が決めた条件)

  • 動物といっても、竜(龍)・麒麟・鳳・鵬などの伝説や空想上の動物は含めなかった
  • 鯱は「しゃち」と読む四股名は入れ、「しゃちほこ」と読む四股名は入れなかった
  • 獅子はライオンの別称ということで含めた。唐獅子(そういう四股名はなかったが)は別物とした
  • 四股名は最終の名を原則採用したが、もっとも通っている名にしたものもあった
  • 対象は、番付が現存する宝暦7年10月以降の江戸・東京の幕内(上段)力士とした
目次

熊がつく四股名|荒熊は5人いた

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熊がつく四股名は4種類あった。江戸時代は荒熊と熊ヶ嶽の2種類、昭和戦前に三熊山と大熊の2人がいる。

時代四股名田口の注
江戸・昭和戦前荒熊江戸時代に宝暦・寛政・文化・弘化と4人、昭和戦前に1人で、計5人いた。江戸時代の荒熊のうち3人は伊勢ノ海部屋所属で、もう1人は所属不明。昭和戦前の荒熊は、入門時にお世話になった旅館の主の旅館名、荒熊旅館からとった名であった
江戸熊ヶ嶽幕内17場所務めたが、平幕で終わった
昭和戦前三熊山幕内3場所で最高位前頭12枚目だったが、初っ切り、相撲甚句、弓取りをこなした稀な力士であった
昭和戦前大熊本名ではない。最高位前頭6枚目。途中応召され、約3年のブランクは大きかった
田口 通廣「四股名あれこれ 動物編2」(2020年10月17日)の並びのまま
相撲絵「荒熊力之助」
<荒熊力之助>

獅子がつく四股名|大鵬の付け人だった黒獅子

獅子がつく四股名も4種類あった。江戸時代は2種類で、いずれも宝暦に上段入りしている。昭和38年と48年には、2人の獅子が入幕している。

時代四股名田口の注
江戸(宝暦)獅子ヶ嶽2場所で終わっている
江戸(宝暦)琴獅子上段付け出しで、その1場所限りで名前が消えている。現代では考えられない
昭和黒獅子大鵬の付け人をしていた。幕内は2場所だが、大鵬のサポートをしていた。大鵬部屋のコーチをしたことがある
昭和若獅子元初代若乃花の二子山部屋に入門。目の細い力士で、小結までいった。琴錦が準年寄り琴錦を含め8つの年寄名跡を変えたが、若獅子はこれを上まわる11であった。最後は協会を離れた
田口 通廣「四股名あれこれ 動物編2」(2020年10月17日)の並びのまま

狼・猪・象・牛・猿がつく四股名|猪王山は「いおうざん」

ここからは少数派で、狼が2種類、猪・象・牛・猿が1種類ずつである。狼は2人ともモンゴル出身の力士である。

青狼
<青狼>
動物四股名田口の注
狼翔天狼入幕4場所目に横綱白鵬に思いがけず勝ったことが忘れられない。最高位は前頭2枚目。最後は幕下人生だった
狼青狼2020年七月場所前に引退した(2020年10月の記事で「つい最近」)。32歳直前だった。幕内は3場所で、関取人生はほとんど十両。最後は幕下だった
猪猪王山(いおうざん)幕末近い力士で、最高位は大関。幕内を27場所務めた
象象ヶ鼻幕末から明治にかけて活躍した。よく珍名番付に名前が載っていた。以前にも複数いたが、改名してしまったため1人だけ残った
牛子牛田山(こごたやま)大正時代の力士。2番目の漢字は午前・午後の「午」かと思いきや、そうではなく「牛(うし)」である
猿翔猿説明無用
田口 通廣「四股名あれこれ 動物編2」(2020年10月17日)の並びのまま
翔天狼(右)が横綱白鵬から勝利した一番
<翔天狼(右)、横綱白鵬から勝利>

珍名番付について田口は、最近はそういう企画は見かけなくなったと書いている(2020年10月の時点)。

相撲絵に描かれた猪王山
<猪王山>

鳥の字がつく四股名|大鳥居・鳥井崎・鳥羽の山

鳥類に移ると、まず鳥の文字を使った四股名がある。大鳥居と鳥井崎は江戸時代の力士で、ともに文政に入幕している。

時代四股名田口の注
江戸(文政)大鳥居幕内付け出しだが、3場所幕内で土俵に上がった記録がない。看板力士だったと思われる
江戸(文政)鳥井崎(とりいざき)幕内通算4場所務めたが、ほとんど勝てず、通算2勝で終わっている
平成鳥羽の山(とわのやま)幕内在位は1場所だが、その1場所もケガによって1不戦敗14休で終わっている
田口 通廣「四股名あれこれ 動物編2」(2020年10月17日)の並びのまま

鶴・鷹・鵆(ちどり)など、鳥の種類の字が入った四股名は次の回に続く(四股名あれこれ 動物編3)。

熊・獅子・狼などの四股名についてよくある質問

Q. 猪王山の読み方は?
A. 「いおうざん」と読みます。幕末近い力士で、最高位は大関、幕内を27場所務めました。

Q. 熊がつく四股名の力士は?
A. 荒熊・熊ヶ嶽・三熊山・大熊の4種類です。荒熊は江戸時代に4人、昭和戦前に1人の計5人いました。

Q. 獅子がつく四股名の力士は?
A. 江戸時代の獅子ヶ嶽・琴獅子と、昭和の黒獅子・若獅子です。黒獅子は大鵬の付け人をしていて、若獅子は小結までいきました。

Q. 狼がつく四股名の力士は?
A. 翔天狼と青狼の2人で、どちらもモンゴル出身です。翔天狼は入幕4場所目に横綱白鵬に勝っています。

Q. 子牛田山の読み方は?
A. 「こごたやま」と読みます。2番目の漢字は「午」ではなく「牛(うし)」で、大正時代の力士です。

▶ 連載「四股名あれこれ 動物編」全4回
動物編1 虎・馬・鹿(哺乳類) | 動物編2 熊・獅子・狼・猪・象・牛・猿と鳥(本稿) | 動物編3 鶴・鷹・鵆(鳥類) | 動物編4 鷲・蛇・鯱・鯉・蜂

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田口 通廣の四股名の記事 一覧(連載「四股名の大元」「四股名のルーツ」「四股名あれこれ」ほか)

〔四股名の大元〕玉(片男波部屋)|栃(春日野部屋)|琴(佐渡ヶ嶽部屋)

〔四股名のルーツ〕○○富士|○鵬&○海(かい)|○風|○○里|寺尾という四股名にこめられた思い

〔四股名あれこれ〕1文字の四股名|頭に若がつく四股名|本名の四股名|四股名のパターン|丸と城と王|~の山|東西南北|動物編(全4回)|~花(上・中・下)|ひらがな変換編|~の・ノ・乃海(全5回)|本名をもじったもの(上・下)|春日野部屋編

〔一覧とクイズ〕力士の改名・旧四股名 一覧|伝統の四股名|四股名クイズ

▶ あわせて読みたい:翔猿の出世街道/四股名のパターン(四股名あれこれ)

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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