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四股名あれこれ 動物編2

引き続き哺乳類の文字を含む四股名を以下の
条件のもと紹介していこう。

1.動物といっても竜(龍)、麒麟、鳳、
鵬などの伝説や空想上の動物は含めなかった。
2.鯱はしゃちと読む四股名は入れ、しゃち
ほこと読む四股名は入れなかった。
3.獅子はライオンの別称ということで含め
た。唐獅子(そういう四股名はなかったが)
は別物とした。
4.四股名は最終の名を原則採用したが、
もっとも通っている名にしたものもあった。
5.対象は、番付が現存する宝暦7年10月
以降の江戸・東京の幕内(上段)力士とした。

熊がつく四股名は4種類あった。江戸時代は
2種類あった。
荒熊
熊ヶ嶽
荒熊は江戸時代宝暦、寛政、文化、弘化と
4人いた。昭和戦前に1人と計5人いたこと
になる。江戸時代の荒熊のうち3人は伊勢ノ
海部屋所属である。もう1人は所属不明で
ある。昭和戦前の荒熊は入門時お世話になっ
た旅館の主の旅館名荒熊旅館からとった名で
あった。熊ヶ嶽は幕内17場所務めたが、平幕
で終わった。

<荒熊力之助>

昭和戦前に2人いる。
三熊山
大熊
三熊山は幕内3場所で最高位前頭12枚目だっ
たが、初っ切り、相撲甚句、弓取りをこな
した稀な力士であった。大熊は本名ではない。
最高位前頭6枚目である。途中応召され、
約3年のブランクは大きかった。

獅子がつく四股名は4種類あった。江戸時代
は2種類あった。
獅子ヶ嶽
琴獅子
いずれも宝暦に上段入りしている。獅子ヶ嶽
が2場所で終わっている。琴獅子は上段
付け出しでその1場所限りで名前が消えて
いる。現代では考えられない。

昭和38年、48年に2人の獅子が入幕している。
黒獅子
若獅子
黒獅子は大鵬の付け人をしていた。幕内は
2場所だが、大鵬のサポートをしていた。
大鵬部屋のコーチをしたことがある。若獅子
は元初代若乃花の二子山部屋に入門。目の
細い力士であった。小結までいった。琴錦が
準年寄り琴錦を含め、8つの年寄名跡を変え
たが、若獅子はこれを上まわる11であった。
最後は協会を離れた。

<青狼>

以下少数派であるが、狼2種類、象・猿1種
類はおわかりだろうか。
狼2
猪1
象1
牛1
猿1

翔天狼
青狼
狼は2人ともモンゴルである。青狼はつい
最近2020年七月場所前に引退した。32歳直前
だった。幕内は3場所で関取人生はほとんど
十両だった。最後は幕下だった。翔天狼で
忘れられないのは入幕4場所目に横綱白鵬に
思いがけず、勝ったことである。最高位は
前頭2枚目。最後は幕下人生だった。夫人は
友綱(元旭天鵬)の妹である。

<翔天狼(右)、横綱白鵬から勝利>

哺乳類で1種類は以下である。
猪王山
象ヶ鼻
子牛田山
翔猿
猪王山は、いおうざんと読む。幕末近い力士
で最高位は大関である。幕内を27場所努めた。
象ヶ鼻は幕末から明治にかけて活躍した力士
である。よく珍名番付に名前が載っていた。
最近はそういう企画は見かけなくなった。
実は象ヶ鼻は以前にも複数いた。ただ、改名
してしまったため1人だけ残った。子牛田山
は、こごたやまと読む。2番目の漢字は午前、
午後の「午」かと思いきや、そうではなく
「牛(うし)」なのである。大正時代の力士
であった。最後は説明無用の翔猿である。

<猪王山>

鳥類に移ろう。まず、鳥の文字を使用した
四股名を紹介していく。
大鳥居
鳥井崎
鳥羽の山
上記2人は江戸時代である。ともに文政に
入幕している。大鳥居は幕内付け出しだが、
3場所幕内で土俵に上がった記録がない。
看板力士だったと思われる。鳥井崎はとりい
ざきと読む。幕内通算4場所努めたが、ほと
んど勝てず、通算2勝で終わっている。鳥羽
の山はとわのやまと読む。平成の力士で、
記憶にある方もいると思う。幕内在位は1場
所だが、その1場所もケガによって1不戦敗
14休で終わっている。

(この項目続く)

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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