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2009年相撲メモから1年を振り返る2

引き続き11年昔を相撲メモから振り返り、
現代といかに異なるかを明らかにしていき
たい。

★頭打ちのスピード出世力士

スピード出世は明日の大相撲を担うバロメー
ターである。しかし、当世のスピード出世
力士栃煌山、豪栄道、阿覧、土佐豊、山本山、
全員頭打ちである。全体的に勢い、進歩が
見られない。これでは上位に挑戦しても期待
がもてないし、土俵が活気づかない。今年
(2009年)6場所、殊勲賞は一人も出なかっ
た。大関は対象外だろうけど、10勝の横綱も
対象外となると翌年の2010年も様変わりする
ほどの期待はもてない。

<栃煌山(前)と豪栄道>

★問題山積の相撲界

最近、武蔵川理事長と北の湖前理事長と何が
違うのだろうかと思えてきた。武蔵川理事長が
やったことは立ち合いに手をつくことを徹底
させたことくらいである。中には勝負がつい
た後にやり直すというしらける場面が見られ
た。立ち合いの正常化に取り組むなら1回目
の仕切りから呼吸を合わせるように指導すべ
きである。そもそも手はつくものではなく、
おろすものである。腰を割れば手は自然に
おりる。それも片手を先におろして呼吸を
はかるのではなく、両手をおろせばお互いに
立つ目安となるはずである。武蔵川理事長
には取り組んでもらいたい問題が山積みして
いる。

1.追手風部屋にみる躾と称する暴力体質が
角界を覆っている現状
2.宮城野部屋のいびつな形
3.部屋独立の厳格な資格
2006年9月の新規定
横綱・大関
関脇・小結通算25場所以上
幕内通算60場所以上
4.理事選の自由立候補と自由投票
5.十一月場所がらあきの抜本的解決

<元三重ノ海の武蔵川理事長(当時)>

1はことばや規定の上だけでは染み付いた
体質はどうにもしがたいということを表して
いる。他のスポーツのトレーニングはどの
ようにしているのか。目を相撲以外にむけ、
稽古は、部屋生活はどうあるべきかを再考し、
意識改革をするぐらいの指針を打ち出して
ほしい。

2の事の経緯はこうだ。1989年廣川宮城野
急逝後、部屋付きの元竹葉山が部屋を継いで
白鵬を育てた。2004年8月26日より、北の湖
部屋所属の元十両・金親が、廣川宮城野未亡
人と養子縁組をした後に廣川宮城野の次女と
結婚し、宮城野を襲名して宮城野部屋を継承
した。これにより、元竹葉山は年寄・熊ヶ谷
に名跡を変更して、宮城野部屋の部屋付き
親方となった。

白鵬が横綱になるさい北の湖理事長は白鵬の
師匠は元竹葉山と明言したが、宮城野部屋は
一門が違う形式師匠と実質師匠が存在する
いびつな形の部屋となった。本来、元竹葉山
熊ヶ谷は一門の部屋に弟子とともに所属し、
元金親宮城野は自分で弟子を探し、育てる
ところから始めなければならないはずだ。
こんな形は今後入門する力士のためにも、
けして相撲界のためにはならない。

<元竹葉山の宮城野親方>

3の狙いは部屋数が多すぎる現状を打破した
いのだろうが、これは親方の弟子養成権を
奪うものだ。自分が強くなることと人を育て
強くすることはまったく別の要素だ。

4の現状は一門の票の割り振りで理事が選出
されているだけだ。理事に立候補したい親方
は何をやるのかを訴え、年寄り+関取、行司、
呼び出しはじめ資格者全員で投票する形に
しないと閉鎖社会、前近代的な世界にしか
映らない。

5は九州場所廃止と最終決断することから
始まる。代案として大阪と名古屋を1年交代
で興行する。宿舎、稽古場もあるので最も
現実的解決だと思う。

★幕下以下のホープ

最後に幕下以下のホープをあげよう。
竜電、旭秀鵬、魁聖、貴ノ岩

当時、頭打ちのスピード出世力士は皆現役を
退いている。2009年十一月場所の幕内力士で
今も現役なのは白鵬、鶴竜、琴奨菊、栃ノ心、
玉鷲、豊響の6人である。全員ベテランの域
に入っている。

相撲界の問題点1は改善され、厳罰化に至っ
ている。2はそもそもあってはいけないこと
だった。現在は正常化している。3の独立
条件は厳しいが、継承はゆるやかと差が開き
すぎている。4はいつまで経っても変わり
そうにない。5は当時の福岡の入りはとに
かくひどかった。午後行っても自由席は購入
できる。マス席はガラガラだった。幕下の
ホープは全員幕内入りした。11年経つと様変
わりするもの、まったく変わりそうにない
ものがはっきりしてくる。

2030年はどんな相撲界になっているのか。
今後をみつめていきたい。

(この項目終わり)

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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