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横綱の対大関戦の成績5

前田山は横綱としては弱いイメージが強い。
横綱時代の大関戦は3勝5敗と負け越して
いる。佐賀ノ花に1勝3敗である。昭和22年
秋場所、大関名寄岩戦がなかった。名寄岩が
全敗だったため、組むのをためらったのかも
しれない。なお、横綱照國、大関佐賀ノ花・
東冨士は大関名寄岩と対戦している。

常ノ花から前田山までの横綱の対大関戦の
成績をまとめておく。

横綱東富士以降は系統別総当たりの取組と
場所数の増加に伴って、対大関戦に増加傾向
が見られてくる。

怒涛の寄り横綱東富士の大関戦は18勝18敗
1預である。五分である。大関佐賀ノ花に
5勝2敗、大関千代ノ山に2勝4敗、大関
鏡里に3勝1敗、大関吉葉山に3勝4敗1預、
大関栃錦に1勝3敗であった。

特に昭和26年秋場所12日目の吉葉山戦は世紀
の大死闘であった。東富士は2、3日前から
風邪を引いて40度の高熱に陥っていた。医師
によって急性肺炎と診断されていた。ドク
ターストップの状態であった。だが、東富士
は強行出場した。11日目は土俵入りを休んで
全勝の大関鏡里に土をつけた。

<東富士のブロマイド>

12日目も土俵入りは休んだ。吉葉山戦、最初
の一番は東富士が出し投げから寄って出るが、
土俵際吉葉山が巻き落としにいき、微妙な
勝負となった。軍配は東富士にあがった。
だが、物言いがついて取り直しとなった。

取り直しは、巨漢と巨漢の攻防になった。
吉葉山右上手ひねりから寄って出るが、東富
士左下手投げでまわり込む。がっぷり四つ、
力相撲となった。吉葉山引きつけて出るも
東富士必死に寄り返し、両力士汗びっしょり。
ついに水が入った。

<吉葉山のブロマイド>

勝負再開、動きはない。吉葉山が寄り立てる
と東富士は後退。ここぞとばかり吉葉山が
寄り立てると東富士は土俵際に詰まるも最後
の力を発揮してうっちゃりにでた。今度は
吉葉山に軍配があがったが、またしても物言
い。同体取り直しの判定となったが、両力士
に意見を聞いた。東富士は「吉葉関に悪い。
向こうの勝ちにしてください」といさぎいい
発言だった。一方吉葉山は「勝負預かりで
けっこうです」ということで、勝負預かりと
なった。まさに激闘に継ぐ激闘であった。

体調が回復した東富士は、このあと勝って、
この場所13勝1敗1預で4回目の優勝を達成
した。

<千代の山のブロマイド>

千代の山は大関で6場所努めて横綱に昇進
した。横綱返上問題をおこしたり、横綱優勝
3回で期待ほど結果を残せなかった。それは
横綱時代の対大関戦にも表われている。17勝
21敗と負け越している。大関吉葉山には4勝
2敗と勝ち越している。しかし、大関鏡里
には1勝3敗、大関三根山には3勝4敗、
大関松登には3勝4敗と負け越している。
大関若ノ花には3勝3敗と五分である。大関
三根山とはその間他の大関がはいることなく、
5連続で対戦している。大関戦に強い横綱は
もう少し待たなければならなかった。

(この項目続く)

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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