新大関朝乃山の初陣は五月場所の中止で先送
りになった。新大関ともなると通常はひいき
筋にひっぱりまわされることがあるが、新型
コロナウイルスの影響でそれはなさそうで
ある。心配は稽古である。出稽古、申し合い、
ぶつかりといった本格的な稽古がいつ解除に
なるのか。それが朝乃山の新大関の成績に
関ってくる。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2020/05/191225力士会-137-e1588998775537.jpg)
これまで新大関の場所は取り上げられ、誰が
優勝したかは比較的よく知られている。そこ
で範囲を3場所まで広げてみた。3場所の
成績だとどのような通信簿に変わるか。最高
位大関と最高位横綱に分けて新大関3場所の
通信簿を出してみた。対象は優勝制度が始ま
った大正15年以降に誕生した大関とした。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2020/05/新大関の3場所の通信簿1A-1024x490.jpg)
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2020/05/新大関3場所の通信簿横綱編1A-1024x480.jpg)
まず、15日制が定着する以前に新大関を迎え
た力士からみていこう。戦前と戦後直後の
混乱期がそれに該当する。もっとも、昭和
14年夏場所から昭和19年春場所までは15日制
であった。これに該当するのが、五ッ嶋、
名寄岩、羽黒山、安芸ノ海、照國である。
最高位大関の表をみると実に休場が多いこと
がわかる。休場がない力士は常陸岩、清水川、
鏡岩だけである。成績の3場所合計の数字は
常陸岩が最もいいが、取組が東西制である。
清水川は系統別だから実質は清水川が優って
いる。常陸岩は大関3場所目、清水川は大関
2場所目に優勝している。清水川はこのあと
4場所後にも優勝している。杉山桂四郎氏は
清水川を昭和唯一の名大関として記述して
いる。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2020/05/清水川絵葉書-e1588998850131.jpg)
鏡岩はいかにも成績がふるわず、6場所と
短命であった。増位山が大関2場所目に優勝
しているが、大関在位は4場所と鏡岩以上に
短命だった。五ッ嶋はさらにその上をいって
大関在位は2場所であった。2場所とも負け
越しに終わっている。佐賀ノ花は新大関の
3場所合計の成績が負け越している。結局、
鏡岩、五ッ嶋、名寄岩、佐賀ノ花、汐ノ海は
大関から落ちている。
最高位横綱の新大関3場所ともなると、数字
は跳ね上がってきている。休場があるのは
羽黒山だけである。玉錦は3場所間に2回
優勝している。玉錦はこのあとも優勝し、
大関で3連覇しながら、横綱になれなかった。
双葉山は大関2場所全勝で横綱に昇進した。
双葉山は69連勝の途上であった。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2020/05/双葉-e1588998871512.jpg)
双葉山、玉錦についで成績がいいのが、照國
である。照國も大関2場所で横綱に昇進して
いる。白鵬が新大関で優勝したとき、大関
2場所で横綱か、と騒がれたが、実現しなか
った。男女ノ川は新大関の場所を負け越して
いる。しかし、大関4場所で横綱に昇進して
いる。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2020/05/男女ノ川-e1588998896983.jpg)
新大関の通信簿を3場所まで広げると今まで
と違ったものが、みえてきそうである。
(この項目続く)
肌寒い1日です。
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