■千代の富士
千代の富士の連勝記録は横綱34場所目から
始まった。32歳から33歳にかけてである。
年6場所時代の横綱では、かなり異例である。
大鵬も北の湖もこの年齢になる前に引退して
いる。千代の富士が連勝したとき、横綱は
北勝海と大乃国であった。北勝海とは同じ
九重(元北の富士)部屋であり、対戦はない。
双羽黒は前年12月に立浪(元2代目羽黒山=
安念山)親方と不仲、対立関係になり、相撲
界を去っている。大関に旭富士、小錦、北天
佑、朝潮がいた。
そうしたなかで、昭和63年五月場所から千代
の富士の連勝は始まった。この場所千代の
富士は14勝1敗で優勝した。1敗は6日目、
関脇琴ヶ梅によるものである。翌日の7日目、
花の湖からスタートした。といっても誰も
これが連勝の始まりとは思っていなかった。
なお、この場所、北天佑、朝潮は途中休場
している。
翌七月場所、千代の富士は15戦全勝優勝した。
24回目の優勝であり、5回目の全勝優勝で
あった。次点は12勝3敗の大乃国であった。
24連勝となった。この数字ではまだ騒がれる
段階ではなかった。九月場所、千代の富士は
初めて連続全勝優勝した。この場所大乃国は
8勝、小錦は3勝と不振であった。千代の
富士は39連勝となり、いよいよ連勝に注目が
集まった。
十一月場所も初日から快調に白星を重ねて
いった。大鵬の45連勝を超えられるかどうか
が最初の注目点であった。なんなくクリア
した。50連勝をこえると、翌場所は双葉山の
69連勝が視野に入ってくるのでは、と思われ
た。一方、相撲関係者や大相撲通の間では
こんな 声があがっていた。千代の富士の連勝
を止める力士は、がちんこ横綱大乃国しか
いない、と。
十一月場所千秋楽を迎えて連勝は、53連勝に
のばしていた。千秋楽は大乃国戦であった。
このとき、大乃国は「おれだって横綱だ。
連勝記録は絶対に止めてやる」という意気
込みで千代の富士戦に臨んだ。相撲は立ち
合い左上手を浅く取った大乃国が千代の富士
を半身に追い込み、終始圧倒した。最後は体
を預け寄り倒した。この相撲はYouTubeで
見ることができる。
こうして千代の富士の連勝はストップされた。
連勝ストップ力士は、対戦相手としては
最高の実力者でがちんこの大乃国であった。
昭和最後の相撲であった。
大相撲の夢をみました。
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