大関を目指す貴景勝にとって、御嶽海はいや
な相手である。このところ4連敗。優勝した
昨年の十一月場所でさえ負けている。大関に
チャレンジするにあたり、下位に苦手がいて
は、いけない。相手は自信をもって向かって
くるからである。
そんな心理がそのまま出た相撲になった。
貴景勝当たるが、下からの突き上げではない。
いつもの迫力ではない。苦手意識のなせる技
か。御嶽海わずかに後退したものの、踏み
こたえ、左はず右差しとなった。こうなると
勝負は決まった。
立ち合いは同時に立って、貴景勝は素早く
攻めないと、手順がくるう。3日目は完敗
でいいところがなかった。
高安は去年の五月場所以来の上位の大栄翔戦
である。普通に考えれば、高安に負ける要素
は、ない。それが、実際はなにか高安が調子
をおろしたように、一方的に攻められて土俵
を割ってしまった。
高安は思いがけない相手によく取りこぼす。
大関になって12勝は3度ある。逸ノ城、遠藤、
竜電に負けている。これを修正しない限り、
優勝は遠ざかる。
貴景勝と高安の2つの敗戦は同じ類のもの
ではない。だが、もう少しなんとかならなか
ったのかという意味では同じである。「負け
て覚える相撲かな」。敗戦を戒めとして、