鶴竜の休場は鶴竜個人の問題では済まなかっ
た。取組編成に大きな支障を及ぼす結果と
なった。12日目が突然横綱・大関リーグ戦が
皆無になったのである。本来なら鶴竜対照ノ
富士、白鵬対琴奨菊が組まれるはずだった。
それが白鵬に不調の栃煌山では盛り上げが
欠けることこの上なし。
横綱対大関戦が組めないのなら、せめて下位
2敗組の貴ノ岩、蒼国来、逸ノ城を白鵬、
稀勢の里、御嶽海にぶつけてサバイバル戦に
するくらいの工夫がほしかった。それくらい
の見せ場はつくってほしかった。しぼんだ
12日目の取組であった。
下位2敗組は蒼国来が3敗となったが、貴ノ
岩、逸ノ城は2敗を守った。しかし、もう
そろそろ「横綱・大関とフル対戦しない力士
には優勝資格はない」という規定が必要な
時期である。幕内最高優勝の権威は何によっ
て裏付けられるのか。権威なき優勝はあって
はいけない。
12日目、盛り上がりに欠ける取組のなかで
最もわかせたのが、稀勢の里対勢戦である。
じりじり攻める稀勢の里だが、勝負をつけ
られない、長引く。稀勢の里よ、勝ってくれ、
優勝してくれ、そんな観客の願いが通じ、
ようやく勝利した稀勢の里。その瞬間の観客
の拍手の大きさ、両腕でVサインする方、
稀勢の里の名前入りタオルを掲げる方、館内
が一体となって熱狂した。
12日目は稀勢の里の勝利に集約されていた。