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稀勢の里の変遷 4

稀勢の里が3場所連続負け越しで、幕内中位に後退した
が、11勝で小結に復帰した。平成19年九月場所のことで
ある。この間白鵬は横綱に、琴光喜は大関に昇進してい
た。ここからは小結中心の第1次三役定着期といえる。
そして稀勢の里は、大相撲が展開するドラマに関ること
になるのである。
ドラマを生む背景にはお騒がせ横綱朝青龍が関っていた。
平成19年七月場所、朝青龍が21度目の優勝を達成した。
ところが、優勝したにも関らず、ケガのため夏巡業を休む
ことになった。このことを耳にした筆者は、不可思議な感じが
したのを覚えている。
070722幕内 811加工
<平成19年七月場所 優勝した朝青龍>
 
夏巡業中、モンゴルに帰っていた朝青龍は、地元でサッカー
をしていた。元気一杯でヘディングまでしていた。実はこの
様子が、何と日本のテレビに流れていたのだ。ケガで夏巡業
を休んでいるのに、サッカーをしているとは何事だ、という
わけである。その結果、相撲協会は朝青龍に2場所出場
停止とその間の謹慎処分を申しつけた。この事件、謹慎中の
朝青龍が精神的病に陥り、途中から治療のためモンゴルに
帰国するという広がりをみせた。
朝青龍が出場停止中の平成19年の九月場所、再小結の稀
勢の里は負け越した。稀勢の里に限らないが、上位の成績
は横綱・大関戦の成績に左右される傾向にある。翌場所、
東2枚目で9勝6敗をあげたが、東筆頭止まりだった。関脇
安美錦8勝、小結安間10勝、小結琴奨菊9勝、西2枚目出島
10勝のため、三役復帰はならなかった。
07九州十三日目幕内 019
<平成19年十一月場所幕内土俵入り 左から琴光喜、
安馬、豊真将そして稀勢の里>
 
平成20年の一月場所、出場停止処分が解除された朝青龍
は復帰した。東筆頭の稀勢の里は2日目朝青龍と対戦した。
そこで朝青龍を圧倒し、送り倒してしまった。まだ、朝青龍も
土俵感が戻っていないのかな、という見方だった。ところが
朝青龍はこのあと快進撃を続け、なんと白鵬と千秋楽1敗
同士の相星決戦を迎えることになった。これ以上ない最高の
盛り上がりの舞台が整ってしまった。その最高の舞台は、
稀勢の里が朝青龍に勝ったことによっておきたのである。
080114二日目幕内後半 490○稀勢の里対朝青龍
<平成20年一月場所 稀勢の里、朝青龍を倒す>
 
勝負は観客の歓声と興奮が最高潮に達するなか、両横綱
が立ち上がった。熱戦となったが、朝青龍不在のなかで
がんばってきた白鵬が最後に制し、3連覇を達成した。稀勢
の里はこのあと勝ち越しを続けるも、関脇が遠い場所になっ
ていくのだった。
(この項目続く)

暑さとともに7月場所は近づいてきた。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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