あるアナウンサーが相撲担当になって最初に覚えたこと
は決まり手であった。なるほどこれが言えなくてはアナ
ウンサーは務まらない。筆者が決まり手を見て不思議に
思ったのは反り技である。こんな技を仕掛ける意味があ
るのだろうか。こんな技本当に決まるのだろうか。
栃錦が不動岩をたすき反りに決めた写真を見た。まるっ
きりないわけではないと思う程度であった。ところがそ
れは認識不足であった。反り技が出にくいのは現代相撲
においてという条件付の上であった。
長い相撲史において仕切り線は最初からあったわけでは
ない。昭和3年のラジオ放送の開始時に仕切り制限時間
とともにできたのである。まだ90年に満たない歴史であ
る。現在の仕切り線の間隔は70センチだが当初は60セン
チであった。
仕切り線のない時代の立ち合いはどういうものであった
か。それは牛相撲のように頭と頭が接触する場合もあっ
た。そうなれば反り技も仕掛けやすくなる。頭ぶねりも
決まりやすかった。もちろん下がって仕切る力士もいた
のでそうなると違う展開になったが、四つ相撲が多かっ
たという。
現代は立ち合いの一瞬の攻防が勝負に直結する。組んで
取る力士と離れて取る力士のぶつかり合い。四つ相撲で
も右四つと左四つの差し手争い。小さい力士が食い下が
らんとするための工夫の立ち合い。スピードと迫力、土
俵際の攻防と仕切り線は相撲の勝負展開を大きく変え、
相撲の見どころ、魅力に大きく貢献した。
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