白鵬対宝富士の一番は白鵬の勝利を疑う者はいまい。しか
し、白鵬はいかにも軽くあしらおうとしてはたきや引きが
目だった。宝富士が腰高の白鵬を寄り立て土俵につまる
場面さえあった。最後は白鵬が勝利したが、かなり追い
詰められた相撲内容であった。相撲には調子をおろすと
いう言い方がある。この日の白鵬はまさにそんな相撲
だった。
白鵬のあしらうような相撲はたまに見られる。危なげなく
決まることもある。しかし、打倒白鵬を考えるなら突破口に
つながる。思えば先場所の終盤3連敗は白鵬らしくなかた。
本気度がいまひとつだった。
3連敗といえば思い起こすのが2012年五月場所である。
白鵬が横綱昇進後最も乱れたのがこの場所である。この
ときのことをこう記している。七日目豊響、八日目豪栄道、
九日目豊ノ島と白鵬が勝ち急ぐあまり、体勢が十分でない
まま攻め、3連敗をきっした。白鵬は63連勝中はスキが
なかった。それ以後一転して全勝はなくなり、この場所は
大敗する場所となった。
筆者が見たいのは超人白鵬である。常人白鵬、これは相撲
界にとっても好ましい状態ではない。