大相撲

優勝制度の変遷

2014年2月19日

かつて大相撲専門誌には優勝力士一覧、三賞受賞力士
一覧、歴代(歴次)横綱が掲載されていた。これを
見て大相撲の歴史を知るきっかけになったものである。
優勝制度はどのような変遷を辿ったか調べてみた。

1909(明治42)年常設館(両国国技館)完成した。
それとともに時事新報社が幕内最高成績者の額を
国技館に掲げることになった。これが優勝制度の
前提となった。第1回は平幕の高見山酉の助が7勝
3分で最高成績者となった。専門誌の優勝力士
一覧はここから始まっている。しかし、これは
あくまで新聞社が制定したもので、協会認定までは
まだ時間を要した。

1925(大正14)年摂政宮殿下(後の昭和天皇)からの
下賜金によって天皇賜杯がつくられ、1926(大正15)
年から最高成績者に授与されるようになった。これを
機に優勝を協会が認定、表彰するようになった。
最初の優勝者は横綱常ノ花である。

優勝制度上解消しなければならない問題がいくつか
でてきた。預かり、引き分け、対戦相手が休場すると
自分も「や」扱いになる点である。取り直し制度は
いつからできたのか。星取り表上預かり、無勝負が
なくなったのは1925(大正15)年一月場所である。
しかし、制度として正式に決めたのは前年の11月で
ある。取り直しは現在のようにすぐ取り直さず、2番後
取り直したが、それでも勝負がつかないときは、別の
日に再戦した。
 

不戦勝制度は1927(昭和2)年関西でおこなわれた
十月場所から正式に適用された。それ以前には
熱戦後取り直しで一方が疲労が激しく棄権したため
不戦勝になったことがある。不戦勝の制度が徹底
していなかったため、不戦勝は正規の勝ち星より
劣るといった考えが一人歩きしていた。そのため、
1928(昭和3)年3月正式に不戦勝不戦敗制度が
確立して、これ以降不戦勝の力士は土俵で勝ち
名乗りを受けるようになった。

これまでの優勝はすべて東西制によるものだがある
事件が歴史を変えた。1932(昭和7)年春秋園事件で
多くの脱退力士により一月場所の番付を編成し直し、
二月に興行をおこなった。このとき系統別総当り制を
導入した。8年間続いたが、出羽の海系が幕内の
半数近くを占め、1940(昭和15)年東西制に戻って
しまった。双葉山-照国は東西が別になる1943(昭和
18)年まで待たなければならなかった。

これまで最高成績が同じ場合番付上位が優勝者で
あった。戦後の混乱期、なんとか相撲人気アップを
図ろうと協会と記者クラブが協力して考えたのが
優勝決定戦制度である。同成績なら番外として対戦
するのだから力士、ファンに歓迎された。1947(昭和
22)年六月場所から施行された。また、翌場所系統別
総当りに戻った。

1965(昭和40)年より部屋別総当り制となり、現在の
優勝制度に近づいた。1971(昭和46)年七月場所より、
平幕でも勝ちこんできた者は上位にあてる規定が
できた。しかし、これ以降平幕優勝した力士は13人
いるが、出場した横綱・大関全員と対戦したのは
7人しかいない。規定はあるもののどこか徹底して
おらず、消化不良の感は否めない。

今後新たな優勝制度をいれるとしたら優勝資格制度を
あげる。優勝する資格は出場した横綱・大関と全員と
対戦した力士に限るという規定である。例えば大関
2人とあたっただけでは優勝資格はないということで
ある。もう一つ提案したいのは幕内優勝は成績に
よって優勝賞金の金額を変えることである。15戦
全勝も11勝4敗も同じ賞金では合点がいかない。
20120520千秋楽表彰 002賜杯

 

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denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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