ここからは「である調」で書かせていただきます。
かつて大相撲は不祥事続きであった。新弟子リンチ死
事件、野球賭博事件、八百長事件とこれでもかこれでもかと
噴出した時期があった。私などは玉錦の生き様が好きで、
大相撲が不祥事続きでも見放さないでいる。
1928年の一月場所。千秋楽をむかえ前頭13枚目の三杉磯は
全勝、大関常陸岩は1敗。当時は優勝決定戦制度がなく、
同成績の場合は番付上位力士が優勝であった。平幕の
三杉磯は千秋楽に小結玉錦とあてられた。前日から玉錦の
もとには八百長の申し入れがあったようだが、玉錦は断った。
むかえた千秋楽。玉錦は三杉磯との一番、負けては八百長と
思われるので必死でうっちゃった。大関常陸岩が横綱宮城山を倒し、
優勝を決めた。
玉錦は常陸岩の後援筋から宴会に誘われたが「人のために相撲は
取らない」と断ったという。八百長嫌いで後年は誰も頼みにいかなかった
という。こうした玉錦というりっぱな手本があるのだから、力士教育に
ぜひ生かしていただきたい。