本日の土俵の進行はスムーズであった。十両土俵入り前に予定した
幕下の取組が早めに終了したほどであった。あわただしい進行遅れ
のなかの取組は何か落ち着かない。ただ、冷静な目で見た取組は恐
るべき結果をもたらした。
1敗安青錦は義ノ富士と対戦した。前日大の里に土をつける大殊勲
をあげた若武者である。相撲は意外な展開となった。義ノ富士が突
き上げると起こされた安青錦は何もできずに後退し、東土俵を割っ
た。こんな安青錦は初めて見た。何か堅くなって力が発揮できなか
ったようにさえ映った。

しかし、実際は義ノ富士にしてやられた。義ノ富士の戦法は安青錦
の新たな弱点になるのか。1敗から2敗でかなり後退したかに思え
た。安青錦が追いかける展開では優勝はおぼつかない。安青錦はこ
の辺が限界かと思えた。
ところが結びで思いも寄らない結果が待ち受けていた。大の里が小
結隆の勝と組まれた。隆の勝は2勝8敗と負け越しが決まっていて
もう一つぱっとしない。大の里は前日の1敗から今日は引き締めて
くると予想した。
ところが相撲は、隆の勝が先手のど輪で攻め上げて引くと大の里は
ばったり大きく倒れた。それはあまりにももろく悲惨な光景であっ
た。大の里は連敗で2敗となった。この敗戦は勢いを失う大きな痛
恨の一番となった。11日目は1敗が意外な相撲で消えた日になった。

2敗豊昇龍は王鵬を問題にせず、果敢に攻め込んで寄り倒した。豊
昇龍はここでついにトップと並んだ。チャンスが訪れた。2敗の新
3強リーグ戦は13日目から始まる。ぐんぐん調子をあげてきた豊
龍にも十分優勝の可能性は出てきた。
