3場所33勝で横綱に昇進した豊昇龍のデビュー戦は無残な結果に終
わった。5勝5敗5休で金星配給3個である。豊昇龍の今後はどう
なるのか。前例から検証してみる。

横綱が実質地位化した常陸山以降では新横綱休場は7人いた。国技
館開設以前、幕内力士は千秋楽出場しなかった。当然それは休場に
入らない。新横綱の休場で豊昇龍を除いた6人の成績が以下である。
鳳 2勝2敗6休
3西ノ海5勝2敗3休
武蔵山 3勝5敗3休
吉葉山 全休
千代の富士1勝2敗12休
双羽黒 3勝4敗8休
3代目西ノ海は新横綱の場所は源氏山として土俵にあがっている。
横綱の実績はどうか。
横綱勝率 横綱優勝率 横綱出場率
鳳 0.59 0 0.77
3西ノ海0.717 0 0.34
武蔵山 0.5 0 0.28
吉葉山 0,619 0 0.679
千代の富士0.848 0.492 0.835
双羽黒 0.692 0 0.755
大正15年の公式優勝制度以前は幕内最高成績とした。それでも千代
の富士以外は横綱優勝0である。いささか多すぎる。横綱の面目丸
つぶれである。これが豊昇龍の今後を暗示しているとは思わないが、
期待がしぼむ要因になる。

また横綱は成績が悪くなると休場する傾向がある。大関と違ってカ
ド番がないため、休場しやすい。この点、豊昇龍も例外ではなかっ
た。そして今後もあり得る。3代目西ノ海・武蔵山は横綱出場数よ
り休場数の方が多い。
横綱は地位が落ちないというきわめて不思議な立場である。このよ
うな競技はほかにない。それだけに責任は重い。同時に協会の看板
力士である。豊昇龍は横綱の力量が本当にあるのかまだ不安である。
真の横綱力量がつく日がくるまで苦難は続くかもしれない。