若隆景は元気だ。5日目は豊昇龍戦である。豊昇龍の今場所の強さ
をはかる上で格好の対戦相手である。立ち合いは若隆景が攻め勝っ
て左が深く差し込めた。これは若隆景のものだと思った瞬間、豊昇
龍のダイナミックな小手投げが炸裂した。若隆景は大きくほうり投
げられた。
思いおこせば、豊昇龍は2021年九月場所、一本背負いで若隆景に勝
っている。一本背負いなんてめったに決まることはない。武蔵丸に
一本背負いをかけようとした力士がいたが、「くうわけないよ」と
一蹴されている。ところが豊昇龍は思い切って技をしかける。大の
里を下手投げで派手に投げ飛ばしたことがある。豊昇龍の強さを垣
間見た日になった。
熱海富士はこれまで壁があった。惜しくも負け越し、三役になかな
か届かなかった。それではいけないと発憤したのか、今場所は4連
勝と好スタートを切った。そして迎えた5日目、新大関大の里と対
戦した。
相撲は押し合い、しのぎ合いとなった。そのなかから大の里がおっ
つけで攻めて、最後押し出した。大の里は前日黒星だっただけに、
強さを発揮した。連敗するようだと早くも優勝は遠ざかるだけに踏
みとどまった。
琴櫻は曲者宇良を寄せ付けず、一方的な攻めで押し出した。琴櫻は
とにかく相手に相撲を取らせないことである。なまじ攻め込まれ、
粘られないためには徹底した攻めが肝心である。祖父の琴櫻はぶち
かましの攻め相撲であった。あるいははさみつけてののど輪が持ち
味だった。祖父のように早く優勝することである。