国技館に行くと手荷物検査が待ち受けていた。天覧
相撲かと思ったが、結局何もなかった。あったのは
秋場所とはいえない夏の暑さであった。
大関陣はまず、新大関豊昇龍の登場で始まった。対
戦相手は阿炎である。阿炎が先手を取ってもろ手突
きで攻めあげる。豊昇龍のけぞいながら、腕をとっ
て回り込むと阿炎が落ちた。決まりてはとったりだ
った。
豊昇龍が残せたのは堅くならなかったからである。
新大関の初日は特別であり、緊張しても不思議では
ない。しかし、みたところそれほどの意識はなかっ
た。そうは言っても周囲の豊昇龍を見る目が違って
くる。
次に登場したのが角番貴景勝である。対戦相手は北
勝富士である。北勝富士はうるさい相撲を取るわけ
ではない。奇襲があるわけでもない。
相撲は勇んで貴景勝が出て行ったが傾いて手をつく
のと北勝富士が土俵を割るのが微妙な勝負となった。
行司のうちわは北勝富士だったが、物言いがついて
長い協議になった。判定は同時とみて取り直しにな
った。
取り直しの一番は北勝富士が土俵のなかではたき込
んで決めた。貴景勝は気負いあるいはあせりがある
のか。足が出ていないからばったり手をつく相撲に
なる。これでは勝てない。
結びの一番、霧島は先場所苦杯した翔猿と対戦した。
霧島はくいさがらせないため、離れてけん制した。
霧島はうまく組み止め、ふところに入った。これで
は翔猿はなにもできない。最後つり出しで決めた。
初日から大関は明暗を分けた。それが即場所の結果
になるわけではないが、気にはなる。