貴景勝は自分の押し相撲が取れず、霧馬山に左を差
され、すくい投げで土俵にはった。霧馬山を押せな
かった。連敗である。一時は1敗で単独トップに立
ったが、ここにきて急速に調子を落とした。
ただ、突然調子を落としたわけでなく、予兆はあっ
た。翠富士、錦富士にみる苦戦である。勝利したこ
とで貴景勝らしくない相撲を覆い隠してしまった。
押しに威力がないと勝利から見放される。それが貴
景勝の相撲である。
こうなったからいうのではなく、最初から横綱に結
びつけるのは時期尚早である。そういうことを口に
する方は横綱とはどういうものかまるでわかってい
ない。
後半最初の一番、2敗阿武咲は3敗玉鷲と対戦した。
上位初対戦である。相撲は、阿武咲があたり勝った。
玉鷲突き離すも引いたところを阿武咲がつけいって
押し出した。
阿武咲は10勝2敗で表面上トップに立った。その内
訳は、玉鷲戦以外は前頭5枚目以下の対戦である。
2敗は竜電と錦木である。ともに前頭5枚目である。
阿武咲、13日目は大関貴景勝戦である。貴景勝は4
小結、玉鷲、大栄翔、阿炎、翠富士などと対戦して
きた。阿武咲と雲泥の差の強敵、実力者ばかりであ
る。これを数字だけで比較しても権威ある優勝には
繋がらない。阿武咲は本当に強いのか。疑念が消え
ぬまま場所は最終盤を迎える。