大相撲

松鳳山引退の波紋

すでに引退を表明していた松鳳山が6月28日引退記者
会見をおこなった。自分は指導者に向かないとか食の
サポートをしたいという趣旨の発言をした。これは
本音なのだろうか。

元3代目若乃花が、貴乃花親方が突然離職したとき
「協会を離れるほうが大変なんだよ」とコメントし
た。実体験からでた言葉であろう。企業勤務ではパソ
コンは使えてあたり前、ノルマ、残業を含む拘束時間
の長さ、クライアントの都合などに振り回されるなど
の過酷さに襲われる。

 <3代目若乃花>

協会に残るほうが安定した生活、高額な報酬に恵まれ
る。部屋付の親方になるには
1. 小結以上
2.幕内通算20場所以上
3.十両以上通算30場所以上
のいずれか1つを満たせばよい。松鳳山は小結5場
所、幕内51場所、十両以上68場所務めている。資格は
十二分である。ただ、年寄株に空きがないとどうにも
ならない。借株もあるが、ほかの一門では簡単では
ない。1度協会を離れると後で空きが出てもどうにも
ならない。

<松鳳山>

また、65歳以上の再雇用制度が年寄株の回転率を悪く
している。再雇用をかかえないと仕事がまわらない
とは思えない。いまは木戸番さえやっていない。しば
らく巡業もなかった。関取70人に対し、年寄105人
(最高値)はバランスが取れていない。

年寄株のもうひとつの問題は値段である。億単位の
金が動くといわれている。春日山の株をめぐるかつて
の裁判では1億7160万円の支払いを命じる判決が出て
いる。舞の海さんは値段の高さに手が出なかったと
いう。支払い能力があるか、バックアップをもたない
と協会には残れないことになる。

<春日山の年寄株1億7160万円の支払いを命じられた元濱錦>

協会の人材の確保は別の要素で成り立っていることに
なる。一時は元横綱の親方が少なかった時期があっ
た。今は7人に増え、照ノ富士も協会に残りそうで
ある。松鳳山ほどの実績をもちながら、2つの壁に
阻まれたことになる。松鳳山の第二の人生の幸を願わ
ずにはいられない。

 

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  • この記事を書いた人

denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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