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優勝した場所の前と後の負け越し5

■東富士
・優勝した前場所負け越し7例目
・優勝した翌場所負け越し14・16例目
・優勝した前場所・翌場所負け越し4例目
東富士は全勝優勝、連続優勝がないのが物
足りないといわれてきた。それだけではなか
った。優勝は6回あるが、そのうち前場所
負け越し1回、翌場所負け越し2回、前場所
翌場所両方負け越しが1回と計4回が負け
越しがらみのなかの優勝であった。3回目の
優勝は6勝6敗3休のあとだった。4回目の
優勝の翌場所は7勝4敗4休だった。5回目
の優勝は前場所7勝4敗4休、翌場所は7勝
7敗1休と両方負け越している。6回目の
優勝の翌場所は3勝7敗5休と負け越して
いる。こんな一面も東富士の強さを弱めて
いるのかもしれない。

<東富士のブロマイド>

■時津山
・優勝した前場所負け越し8例目
時津山が優勝したのは昭和28年夏場所、15戦
全勝であった。横綱東富士戦、大関栃錦・
吉葉山戦はなかった。関脇12勝の三根山戦、
関脇朝潮戦もなかった。特に大関吉葉山は
14勝1敗であった。したがって優勝の価値は
低かった。吉葉山と優勝決定戦をやれ、と
いう声があったほどである。翌場所は小結に
あがった。横綱戦1勝1敗、大関戦3敗のなか、
8勝7敗と勝ち越している。時津山が負け
越したのは優勝前場所で6勝9敗だった。
横綱戦2敗、大関戦2敗だった。

<時津山のブロマイド>

■吉葉山
・優勝した翌場所負け越し17例目
昭和29年一月場所、千秋楽を迎え全勝大関
吉葉山、1敗横綱鏡里であった。両雄は千秋
楽優勝をかけて激突することになった。前日
の夜から降り出した雪はやまず、千秋楽は
雪一面のなかで行われることになった。熱狂
的なファンはそれでも駆けつけた。声援は
圧倒的に吉葉山であった。勝負は吉葉山が
途中から左四つ、鏡里に上手を与えない体勢
にもち込んで寄り切った。雪のなかの優勝
パレードでは、吉葉山の頬を伝わるのは涙か
雪かといわれた。場所後吉葉山は横綱に昇進
した。しかし、2月に急性腎臓炎にかかり、
新横綱の場所を全休することになった。

<吉葉山のブロマイド>

■栃錦
・優勝した翌場所負け越し18例目
栃錦は昭和30年夏場所、5回目の優勝を達成
している。横綱3場所目の横綱初優勝であっ
た。栃錦の千秋楽の対戦相手は大関大内山で
あった。優勝が14日目に決まっていたため
緊張感の薄い取組になるかと思ったらとん
でもない激闘になった。

大内山はやつでの葉のような手で猛然と突っ
張ってきた。栃錦のあごに容赦なくヒット
する。栃錦は防戦一方。そのなかから左から
攻めてもろ差しになり、二枚蹴り、下手出し
投げと攻めるが、体が離れると再び大内山の
猛突っ張り。優勝栃錦は千秋楽に敗れるのか。
大内山が右をのぞかせて十分と思ったとき、
栃錦は飛び上がるように大内山の首をつかむ
と一瞬の首投げ。大内山の巨体が弧を描く
ように舞って土俵に沈んだ。この一番は名勝
負中の名勝負として語り継がれている。栃錦
は翌場所4勝3敗8休で負け越している。

<栃錦のブロマイド>

■鏡里
・優勝した翌場所負け越し19例目
鏡里は元鏡岩の粂川の直弟子だった。粂川が
盟友双葉山に弟子も建物も差し出し、時津風
部屋所属となった。大関で初優勝しただけで
横綱に昇進した。この点は鶴竜と一緒である。
鏡里は4回優勝している。最後の優勝は昭和
31年秋場所、14勝1敗であった。しかし、
翌場所3勝5敗7休で負け越している。5場
所後に朝日新聞の記者に言質をとられ引退
している。9勝6敗だったが、本人は、本当
はまだやめたくなかった。入れかわるように
若乃花が横綱に昇進した。

<鏡里のブロマイド>

(この項目続く)

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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