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年寄制度あれこれ

現在幕内の定員は42名、十両は28名である。
あわせて70名である。これは2003年十一月
場所限りの公傷制度廃止に伴って北の湖理事
長のとき、幕内を2名、十両 を2名増加して
現在に至っている。ところが、年寄は105人
以内である。関取70人よりはるかに多いので
ある。もちろん、年寄は元力士である。ほか
のプロスポーツには見られない多さである。
年寄105人は昭和におこなわれた東西合併に
伴って大阪相撲の年寄が加わって以来現在に
至っている。

<北の湖>

元双葉山の時津風理事長は昭和42年番付削減
の大英断を断行した。幕内40人を36人に、
十両36人を26人に減らした。そのため、十両
で勝ち越しながら幕下になった者が出てきた。
このとき年寄の削減も考えられたが、大金が
からむので実現しなかったという。

<双葉山のブロマイド>

1996年9月、元佐田の山の境川理事長は年寄
名跡の改革私案を理事会に提出した。主な
趣旨は人材流出の防止から親方株を一定数
協会帰属とし、売買を禁止するというモノ
だった。間垣委員長(元2代若乃花)、高田
川副委員長(元前の山)のもと年寄名跡改革
小委員会は、境川の改革案を圧倒的多数で
拒否した。それは他の親方も同様であった。
高額で購入した親方株が次に譲れなくなる
恐れが出てくる。死活問題につながり、大
反対の嵐となった。1997年5月、境川理事長
は改革私案の全面撤回を表明せざるを得なく
なった。

<佐田の山>

2014年1月、日本相撲協会は公益財団法人の
認定を受けた。公益財団法人になったとき、
約款に年寄名跡の売買を禁止した。しかし、
顧問料、指導料と名目を変えての金銭の授受
がおこなわれているのなら実体は前と少しも
変わらない。春日山の株をめぐる裁判では
元濱錦が協会を退職している元春日富士に
1億7160万円支払う判決が出た。巨大なマネ
ーが動くことが明らかになった。公益財団
法人になっても年寄制度はなにも変わって
いないことになる。

<元濱錦>

年寄の定年は生涯であった。といっても特別
に長生きする人は少ない時代であった。昭和
36年1月1日より65歳定年となった。それ
でも元横綱で定年を迎えた方は鏡里、初代
若乃花、大鵬、佐田の山、栃ノ海と5人しか
いない(途中協会を退職した者は含まない)。
2014年11月16日から定年を迎えて退職した者
を再雇用する制度が実施された。参与扱いで
70歳まで務められる。役員や部屋持ちには
なれない。

ただ、再雇用制度は相撲ファンにはあまり
評判がよくない。
1.ほかの協会員には適用されず、親方だけ
が特別扱いである
2.再雇用で具体的にどういう仕事をして
もらうのか、わかりにくい。
3.年寄名跡の回転率に障害が出る。
現在再雇用の親方は7人いる。

大相撲独特の年寄制度ほど改善が難しいもの
はない。歴史がそれを証明している。

土曜日は家で過ごしました。
興味深いテーマをこれからもお届けします。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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