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土俵が広がったとき

相撲の特徴に土俵がある。出たら負けになる。
こういう格闘技はほかに類がない。柔道、
レスリングでも競技範囲は限られているが、
出たら即負けはない。ボクシングにいたって
はロープで囲み、リングから出られないよう
になっている。土俵が俵で埋め込まれている
点も特徴である。ここに足がかかると踏ん
張れる。線でひいた円ならばこうはいかない。
常陸山太刀山
<13尺土俵での攻防 ブロマイドより>

江戸、明治、大正と土俵は13尺(約3メー

トル94センチ)であった。谷風、雷電、梅ヶ
谷、常陸山、太刀山、栃木山は13尺土俵の
強豪であったわけである。その土俵が突然
広がることになった。15尺(約4メートル
55センチ)土俵に変わったのは昭和6年4月
のことである。
太刀山、
<太刀山のブロマイド>

きっかけは4月29日の天皇誕生日に天覧相撲
を奉仕したことである。天皇陛下に十分な
土俵の攻防を楽しんでいただこうという趣旨
であった。突然のことに力士は戸惑った。
体にしみ込んだ13尺土俵がいきなり15尺に
広がり、変わることになったのだから。
土俵が広くなることは、当然突き押し相撲、
かつ寄りに不利である。天覧相撲は23番おこ
なわれ、突き押し、寄り切り、吊り出しは
9番、うっちゃりなどの逆転技が3番、土俵
内で決まった勝負は11番であった。やはり、
土俵の外に出す相撲の不利が数字に表れて
いる。
1705風景 027
<15尺土俵>

本場所ではその直後の昭和6年夏場所から
15尺土俵が使用されるようになった。この
場所は小結武蔵山が優勝している。1場所
だけ進駐軍によって、戦後の昭和20年秋場所
の土俵が16尺になったことがあった。その後
は15尺土俵で現在に至っている。
現代の重量級大相撲にとって、15尺土俵は
適切なのか、狭いのか。草相撲を取った経験
では特に狭い、広いは感じなかった。草相撲
仲間に突き押し相撲がいなかったせいかも
しれない。ただ、これだけは言える。国技館
の4人マス席は狭く感じることは間違いない。
ふかふかの座布団にすわってみました。
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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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