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横綱審議委員長が示した見識

横綱の問題点は何か。それは同じ横綱でも
天と地ほどの開きがある点である。双葉山も
武蔵山も同じ横綱扱いである。それは安易な
横綱づくりに原因があると指摘してきた。
昭和33年以降、その大元として横綱審議委員
の2場所連続優勝または準じる成績に起因
している。横綱昇進の基準は厳密には以下で
ある。
一、横綱に推薦する力士は品格、力量が抜群
であること。
二、今後の横綱推薦に対しては、横綱審議委
員会が、大関で二場所連続優勝した力士を横
綱に推薦することを原則とする。
三、第二項に準ずる成績をあげた力士を推薦
する場合は、全委員の一致の決議を必要とす
る。(後3分の2に変更)
160327千秋楽幕内・表彰 802
<平成28年三月場所 優勝の翌場所鶴竜に負け
8勝7敗に終わった琴奨菊>
 
問題点は何か。
1.項目一がまるで検討されていない。本来
はこれをもとに審議すべきである。
2.年6場所制の今、わずか2場所で決めて
いる。これは一時的な強さに過ぎない。
3.弱い横綱・物足りない横綱を作ったこと
に対する反省が、横審・協会から聞いたこと
がない。
4.昭和33年1月6日の基準が金科玉条の
ごとき、訂正されることなく今日まで続いて
いる。
以上、土俵の目撃者がこれまで述べてきた
趣旨である。ところが守屋横綱審議委員長が
読売新聞の論点に「横綱昇進条件の独り歩き」
と題する文を掲載したのだ。大変興味深い
内容なので抜粋してみる。
日本相撲協会やメディアの中で、横審が
設けている横綱推薦の内規が独り歩きして
いることが気掛かりだ。第2項と3項を合わ
せた「2場所連続優勝か、それに準じる
好成績」は具体的であるが故に、「横綱の
条件」と化していないだろうか。
横綱には常に安定感が求められる。第1項
には「品格、力量抜群」と定められており、
2場所にとどまらない長いスパンでの視点
が欠かせない。
横審
<読売新聞に掲載された
守屋氏の論点>
 
ここまではすばらしい。守屋横綱審議委員長
の見識は賞賛に値する。しかし、次の抜粋に
ある協会の見解には正直失望した。
協会の八角理事長(元横綱北勝海)には先日、
仮定の話と断った上で「内規を見直してみる
考えがあるとすれば、いかがか」と尋ねた。
理事長は「我々としては(現状で)特別な
不便を感じていない」との答えだった。1委員
としては、半年とか1年の数字を示した上で
「一定期間の成績を勘案して」との文言を
足したいと考えている。第1項の「抜群の
力量」に含まれる話ではあるが、具体的な
文言には重みがある。「2場所連続……」を
独り歩きさせない歯止めにもなろう。
160724千秋楽幕内表彰 486
<平成28年七月場所 稀勢の里に敗れ、負け越した
豪栄道>
 
守屋横綱審議委員長は平成29年一月場所で
任期満了となる。是非実現に向けて動き、
有終の美を飾っていただきたい。豪栄道が
本来問われているのは、連続優勝ではない。
品格力量抜群であるか否かである。

11月で冬の寒さが続く。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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