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幕内上位陣の出世レース

幕内には2つある。横綱・大関と対戦する幕内とそうで
ない幕内である。三月場所の番付でいうと、前頭東3枚
目の碧山までが横綱・大関とフルに対戦する。日馬富士・
照ノ富士・宝富士は同部屋のため、前頭東西4枚目の勢・
蒼国来まで対戦する。琴奨菊と琴勇輝及び稀勢の里と高
安も同部屋であるため、前頭西3枚目の安美錦と対戦す
ることになる。
幕内上位陣といってもスタートは前相撲そして序ノ口から
である。彼らはどういう下積みを経て、新十両・新入幕を
果たしたのだろうか。名鑑にはないデータとして調べてみ
た。それが以下である。「新十両になったときが一番嬉し
かった」と力士が異口同音に語る新十両を第一段階とし
て出してみた。第二段階として、新入幕までをだしてみた。
新十両までにおける各段の場所数は、落ちた場合も加え
てある。例えば幕下に上がっても、三段目に落ちることが
ある。落ちた三段目も三段目の場所数としてカウントして
ある。
略字 口=序ノ口 二=序二段 三=三段目 
下=幕下 十=十両
▼新十両迄の成績
最終表1A
 ▼新入幕迄の十両成績
最終表2A
新十両までのスピード出世は、嘉風が8場所しか要して
いず、トップである。大学相撲の経験が生かされ、1年2
場所を経て新十両を決めた。これに続くのが、栃煌山と
宝富士の9場所を経ての新十両である。宝富士も大学
相撲出身である。栃煌山は高校相撲出身だが、朝青龍・
琴奨菊を生んだ名門明徳義塾の相撲部である。栃ノ心と
碧山の外国勢が10場所でこれに続くのは立派である。特
に栃ノ心は新十両・新入幕まで負け越しなしである。

0703十四日目幕下以下 114
<幕下時代の栃ノ心>

横綱・大関陣を中心に新十両に要した場所数に目を移す
と、豪栄道が10場所、稀勢の里が12場所でここまでが2
年以内である。照ノ富士・豊ノ島が13場所、琴奨菊14場
所、白鵬16場所、安美錦17場所、日馬富士18場所でここ
までが3年以内で新十両に到達している。なお、「知られ
ざる白鵬」でもふれたが、白鵬はデビュー戦を3勝4敗と
負け越している。この表では唯一の序ノ口2場所在位で
ある。

160110初日十両 571
<白鵬>

この中で、新十両まで、最も時間がかかったのが勢である。
幕下までは早かったが、幕下在位が長かった。結局38場
所を要して新十両に昇進した。こつこつ力をつける地味な
苦労を筆者は尊ぶ。今や勢の人気は大阪を越えて全国
区である。
080127千秋楽幕下以下 139勢
<幕下時代の勢>

蒼国来は入幕後八百長疑惑で一時協会を離れ、空白が
ある。裁判で復帰するが、その間の苦労は想像を絶する
ものであったに違いない。蒼国来復帰の署名活動をした
方々のビラにあった「この裁判の結果がどんなになっても、
日本人をうらみません」という言葉が未だ忘れられない。
スピード出世はあくまでも一時的なもので、力士の評価
は到達点の高さで決まる。しかし、力士がどういう経緯
で上がってきたか知らないことが案外多い。力士の側面
を知れば大相撲はさらに興味深くなる。

 三月場所まであとわずか。味深いテーマを記していきます。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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