2014年、白鵬は5回優勝してあっさり大鵬の史上最高の
優勝回数32に並んだ。現在4連覇中でもあり、他を寄せ
付けない強さの中での優勝である。大鵬が31回、32回の
優勝をしたときはいずれも単発でともに年1回の優勝
だった。大鵬はこのとき晩年だった。大鵬が31回目の
優勝を達成した1970(昭和45)年三月場所後の七月場所
には途中休場して引退騒動を起こしている。
その後気持ちを切りかえた大鵬は12勝、14勝、14勝優勝、
12勝と安定した成績をあげた。その翌場所の1971(昭和
46)年五月場所、初日番狂わせなど考えられない栃富士
戦で思いがけない展開となった。大鵬は果敢に栃富士を
攻めていって尻餅をつくという敗戦で衰えを露呈し、
この場所引退した。
つまり、同じ32回優勝といっても置かれた状況は白鵬と
大鵬ではまったく異なるのである。対戦相手の違いも
大きい。大鵬の晩年は世代的にひとまわり若い玉の海・
北の富士の両横綱が台頭していた。これに比べ白鵬は
自分の立場を脅かす相手がいない。一強他弱の状態で
ある、日馬富士は白鵬より年上だし、鶴竜は白鵬戦は
ワンサイドで負け続けている。
こうした中では白鵬の優勝は年3回から5回の可能性が
考えられる。白鵬は2015年35回から37回の優勝を達成
しうるのである。気になる点は白鵬が猛稽古をしている
という話が伝わってこないことである。そこそこの稽古で
勝てるとなると大相撲は随分底の浅いものを証明すること
になる。