佐田の山が関脇優勝した翌場所に栃ノ海が関脇優勝した。手順よく
いった相撲はまさに小兵名人であった。体重は107キロだった。元
栃木山の春日野部屋に入門してきた。栃錦はすでに横綱だった。再
入幕後優勝前までに技能賞を4回獲得していた。
昭和37年五月場所、栃ノ海は関脇5場所目だった。横綱若乃花は場
所前に引退した。横綱は大鵬と柏戸、大関は佐田の山と北葉山であ
った。琴ヶ濱は全休であった。3場所後の十一月場所に引退してい
る

13日目、2敗大鵬と1敗栃ノ海が対戦した。先場所まで栃ノ海は大
鵬に5連敗中であった。相撲は、当たり合って自分有利な体勢を争
う熾烈な攻防となった。大鵬上手を取り投げにいくと栃ノ海は渡し
込みにいく。この攻めに大鵬は腰から落ちた。
この場所は佐田の山、栃ノ海、張出関脇栃光が好調だった。大鵬は
この3人に敗れ11勝4敗に終わっている。柏戸は3人に1勝2敗だ
が、最終成績は11勝4敗だった。北葉山は9勝6敗で論外であった。
出羽一門の逆襲であった。

優勝争いは出羽海部屋の2敗佐田の山、春日野部屋の1敗栃ノ海・
2敗栃光になった。出羽海は本家、春日野部屋は分家の同系統のた
め3力士の対戦はなかった。佐田の山・栃光は13勝2敗、栃ノ海は
柏戸に負けた1敗で逃げ切った。栃ノ海が14勝1敗で初優勝を成し
遂げたのである。栃ノ海と栃光は場所後大関に昇進した。