高安はこれまで何度か優勝のチャンスはあった。最大のチャンスは
令和4年大阪場所の優勝決定戦である。若隆景と最後まで優勝を争
った。あと一歩というところで逃している。ほかには堅くなって勝
てない場所があった。
高安には2つの壁があった。優勝と13勝の壁である。高安の幕内最
高成績は12勝である。13勝の壁を突破できるか。なにしろ1横綱2
大関を撃破しての1敗単独トップである。可能性は大きいとみてい
た。

その中で高安は11日目の霧島戦を迎えた。霧島は調子がいいとは言
い切れない状態である。その上パワー相撲にはけっこう苦戦する。
高安優勢は少しもおかしくない予想である。ところが相撲は、霧島
が押して出ると高安が後退して土俵を割ったのだ。高安は何もでき
なかった。力を発揮できなかった。これで優勝できるのかなんとも
いえなくなってきた。
2敗となった大の里は結びで宇良と対戦した。食い下がらせないた
め離れた相撲の中で、はたき込みで決めた。宇良は1回転してしま
った。大の里はこれで2敗を守りトップタイとなった。12日目は2
敗尊富士と対戦することになった。

幕内後半戦の最初、2敗同士の対戦が実現した。尊富士対美ノ海戦
である。相撲は尊富士の一方的な相撲となり、突き出しで勝利した。
尊富士の浮上のほうが上位には嫌に映るが、その通りの結果になっ
た。昨年の大阪場所の優勝者が生き残った。

11日目を終え、1敗力士がいなくなった。2敗で大の里、高安、尊
富士の3力士となった。展開によっては3敗力士が優圏内に加わっ
てくることになりそうである。