豊昇龍は一山本とぶつかった。幕内では初顔になる。これまで一山
本が上位に上がることがなかったためである。善戦はしても勝利は
難しい、と予想した。しかし、土俵は思わぬ展開になった。豊昇龍
の相撲は荒く、まるですぐに終わらせようといきなり投げにいった
ように映った。そんな相撲が通じるはずもなく、一山本のすくい投
げにくずされて土俵の土にまみれた。

豊昇龍は連敗となり、これで5勝4敗となった。金星は3個の提供
である。1場所で3個はいくらなんでも多い。9日目の相撲は自滅
的相撲であった。これでは横綱の面目は丸つぶれである。
いまさらながら豊昇龍の横綱は時期尚早だった。3場所33勝は大関
昇進の目安である。それを横綱昇進の基準にしたことが間違いだっ
た。貴乃花は14勝1敗優勝・11勝4敗・14勝1敗優勝・11勝4敗・
15戦全勝優勝で横綱になれなかった。いかに豊昇龍の横綱昇進が論
外だったかわかる。
1敗高安は大関琴櫻と組まれた。左四つ互いに上手が取れない体勢
となった。互いに決め手を欠くなかで一瞬高安の下手出し投げが放
たれた。高安は1敗のまま大の里とぶつかる。琴櫻は5勝4敗と厳
しくなった。

大の里は小結阿炎と対戦した。相撲は、前へ前へと攻め込んで圧倒
した。最後青房下土俵で寄り切った。9日目は体をいかしたいい攻
めをみせた。横綱・大関で優勝圏内は大の里だけとなった。いささ
か寂しい展開である。
