横綱の責任勝ち星は12勝である。11勝を何場所続け
ても横綱にはなれない。横綱は12勝以上の成績がど
れくらいあげられたのか。優勝した場所はもちろん
そうでない場所も含めて調査してみた。
対象は横綱審議委員会以降の横綱、千代の山以降と
した。なお、初代若乃花の優勝でない12勝には12勝
2敗1分が含まれている。また、白鵬は横綱在位84
場所だが、コロナ部屋ごと休場が2場所ある。その
ため、横綱在位を82場所として算出している。
その結果横綱好成績率トップは90%の玉の海となっ
た。玉の海は現役死亡という悲しい背景はあるが、
それでもこれだけの好成績率は脅威である。腰で取
る相撲で双葉山と比較する楽しみがでてきた。貴ノ
花の外掛けに腰がくずれながら、もう一方の腰で残
してかかえ出した。二枚腰が出た瞬間だった。
続いた横綱が記録男白鵬である。好成績は57場所に
及び、横綱の好成績率69.5%となった。晩年の白鵬
は休場が多かった。それでもこれだけ安定した成績
を残した。圧巻は63連勝した2010年であろう。全勝
優勝4場所、14勝優勝、12勝3敗であった。
さらに千代の富士、大鵬、朝青龍が60%台で続いて
いる。北の湖、貴乃花、初代若乃花が50%台を保っ
ている。いずれも大横綱・名横綱として名をはせた
者ばかりである。
横綱好成績が2回しかないのが朝潮と3代目若乃花
である。朝潮は横綱になって休場が多くなった。若
乃花は横綱優勝ゼロであった。大関時代のほうが成
績は上だったのは皮肉である。
横綱好成績1回の横綱が4人もいる。琴櫻、稀勢の
里、栃ノ海、吉葉山である琴櫻は32歳で横綱になり
無理があった。稀勢の里はケガがあったが、なくて
も30歳で大きな飛躍は考えにくかった。栃ノ海は綱
の重さにつぶれた。吉葉山は横綱になったとたん休
場が目立った。
弱い横綱・物足りない横綱はなぜ生まれるのか。横
綱昇進基準が機能していないからである。2場所連
続優勝は横綱昇進にこだわる限りなくならない。