混迷の時代は12勝レベルのスキあり優勝が続いてい
る。ハイレベルな優勝は2021年七月場所、横綱白鵬
と大関照ノ富士が14戦全勝同士で対戦したときであ
る。白鵬が最後の優勝を全勝で飾った。照ノ富士は
優勝を逃したとはいえ、初の14勝1敗だった。
14勝1敗で優勝をのがすことはある。これまで数多
く見てきた。だから11勝4敗の超低レベルを優勝と
はとても呼べない。単なる1位にすぎないという根
拠もここにある。
それでは14勝1敗で複数優勝を逃した力士はどのく
らいいるのか。15日制は昭和14年夏場所から19年春
場所まで実施された。15日制が定着したのは昭和24
年夏場所からである。
最初に14勝1敗優勝なしを2回経験した力士は羽黒
山であった。大関で1回、横綱で1回あった。無敵
双葉山の時代であり、昭和16年春場所、最初は双葉
山が14勝1敗で優勝している。優勝決定戦がない時
代は番付上位の優勝であった。
昭和18年夏場所、2回目は双葉山が15戦全勝であっ
た。双葉山と羽黒山は同じ立浪(元緑嶋)部屋で二
人が対戦することはなかった。
次が栃錦であった。最初は昭和34年五月場所であっ
た。横綱栃錦は初日から14連勝。ライバル横綱若乃
花は1敗で千秋楽を迎えた。若乃花は本割、優勝決
定戦で連勝して逆転優勝した。優勝できると思わな
かった若乃花は紋付羽織の用意がなく、裸の優勝パ
レードとなった。これが史上初の千秋楽本割、優勝
決定戦での逆転優勝だった。
昭和35年三月場所、史上初の千秋楽14勝同士の横綱
決戦である。栃若戦前期は栃錦、後期は若乃花有利
であった。双葉山の時津風理事長が土俵下で見守っ
た。若乃花がこの一番を制して初の全勝優勝を達成
した。栃錦の14勝1敗優勝なし2回はいずれも若乃
花に負けたことによるものだった。
(この項目続く)