10日目から千代の国、炎鵬、琴勝峰が休場した。こ
の日は関取の休場が6人、引退が2人であるから大
変な欠員の日であった。幕内は19番だが、実質18番
になった。ただし、休場中の高安は11日目から出場
する。こうした情報は国技館内にいてもはいってく
る。
1敗3人の相撲からみていこう。
まず横綱照ノ富士から。対戦相手は小結琴ノ若であ
る。立ち合い当たって照ノ富士出るが、琴ノ若もろ
差しで向こう正面つまる。寄る照ノ富士、必死でこ
らえる琴ノ若。照ノ富士左まきかえにきたところを
琴ノ若正面に照ノ富士を追い込む。照ノ富士必死に
こらえてがっぷり左四つ。力相撲になった。琴ノ若
横にふるところ照ノ富士が逆にふって寄り切った。
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両者力を存分に出しきった熱闘であった。勝負は照
ノ富士の辛抱勝ちであった。あわてなかった。勝機
をとらえて勝負にいった。照ノ富士は琴ノ若に1度
も負けていない。
1敗明生は2敗北青鵬と対戦した。明生思いきって
出たが、北青鵬は右へ変わりながら右上手を引いた。
朝乃山戦でもあったが、明生相手にそこまで必要だ
ろうか。明生動いて出し投げからふところに入って
寄り立てる。
東土俵北青鵬傾き、勝負あったかと思えた。だが、
北青鵬驚異の粘りでしのいでしまった。それだけで
はない。北青鵬は青房下土俵で思い切った上手投げ
で明生をほうむった。明生は北青鵬の驚異のねばり
に負けた。
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1敗朝乃山は2敗平戸海と対戦した。両力士あたり
あった瞬間、朝乃山は思いきってはたき込んだ。平
戸海は大きくとんで手をついた。力の違いがあらわ
れた一番となった。朝乃山は1敗といっても前頭9
枚目以下の相手ばかりである。横綱・三役戦なくし
ての優勝はありえない。
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2敗同士かつ関脇同士の一番が組まれた。大関を目
指す霧馬山対成長著しい若元春である。両力士突き
合いから左四つ。若元春の小手投げを霧馬山外掛け
で防ぐ。そのあと霧馬山電光石火の小手投げで鮮や
かに決めた。
今日の霧馬山は強かった。霧馬山に関してとにかく
勝てばいいという見方をする方がいる。しかし、問
題は勝ち方であり、同時に負け方なのである。勝て
ばいいで大関になっても、地力がともなわないと地
位だけ大関になりかねない。
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双葉山が求めたものは相手から得られえる勝利では
なかった。相撲技の習熟・完成でもなかった。相撲
をとおしての自己完成への努力であった。双葉山は
求道者であった。