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新大関正代論

大関の伝達式がおこなわれる時津風部屋は、
内外ともに数多くの胡蝶蘭が飾られていた。
壮観な眺めである。協会使者として鏡山
(元多賀竜)と立川(元土佐ノ海)が派遣
され、部屋に午前に着いた。時津風(元
時津海)は急病のため、枝川(元蒼樹山)が
代行して伝達式に臨んだ。正代は「謹んで
お受けいたします。大関の名に恥じぬよう、
至誠一貫の精神で相撲道に邁進してまいり
ます」と四字熟語をいれ、口上を述べた。
大関正代の誕生である。

<使者を迎える正代>

今年(2020年)にはいってから正代は見違え
るように飛躍した。上位ではなかなか勝て
ない正代が、2ケタ勝利が続いた。しかも
九月場所は優勝だった。大関にはなるべく
してなるタイプと思いがけず強くなってなる
タイプがある。前者は大鵬、北の湖、輪島、
貴乃花などである。正代はある日突然強く
なったタイプである。

正代はどんな大関になるだろうか。大関は
特別な地位である。それにも関らず、8勝、
9勝の成績が10勝以上より多い大関を随分
みてきた。いわば大関になったとたん弱く
なっているのだ。これは、大関降格は2場所
連続負け越しの規定に甘えてしまう傾向が
あるからだ。正代の心構えにかかっている。

<満面の笑み正代>

技術的にはどうか。右四つ寄り。もろざし
からの速攻。突き落としをみせることがある。
これらにさらに磨きをかけることである。
ただ、これからは正代をみる周囲の目が違っ
てくる。そのためにも正代は型を完成させる
ことが望ましい。

学生出身大関という点ではどうか。学生出身
は一般的に年齢が高くなる。大学4年のとき
すでに21歳から22歳である。正代は28歳で
ある。これまで学生出身の大関は7人いる。

豊山=前名内田
輪島
朝潮(長岡)
出島
武双山
雅山
琴光喜
朝乃山

<元豊山の先々代時津風(左)>

横綱になったのは輪島だけである。部屋の
先輩に豊山=前名内田がいる。出身はともに
東農大である。豊山は横綱を期待させる逸材
であった。大鵬という巨大な壁の前に横綱は
おろか優勝なく終わっている。ここ一番に
弱かった。出島、武双山、雅山は大関降格
経験がある。琴光喜は野球賭博で解雇された。
学生出身の横綱は容易ではないことがよく
わかる。※注:旭冨士は中退である。

今の横綱白鵬・鶴竜は休場がちである。大関
は事実上最高の地位となり、責任ある最強の
立場になる。正代には2017年の一月場所の
稀勢の里以来の大関優勝をまず達成していた
だきたい。

相撲ファンと長々と話しました。
興味深いテーマをこれからもお届けします。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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