■双葉山1
双葉山といえば、69連勝が最も有名である。
双葉山が69連勝を達成したのは、昭和14年
1月14日である。それから81年以上経つが、
いまだ破られていない。大相撲史上最高の
連勝記録として、さん然と輝いている。
連勝記録が始まったのは、双葉山が平幕の
ときである。昭和11年春場所、前頭3枚目で
9勝2敗の成績であった。6日目横綱玉錦に
敗れたあとから連勝は始まった。当時はこれ
が連勝の始まりになるとは誰も思っていなか
った。なお、昭和7年から取組は系統別総当
たり制に変わっていた。
翌場所の夏場所、双葉山は関脇に昇進した。
この場所双葉山は初日から連戦連勝。先場所
全勝優勝した横綱玉錦も同様であった。両雄
は9日目に全勝で激突した。予想は当然玉錦
である。このとき玉錦は27連勝中であり、
充実期であった。また、双葉山はこれまで
玉錦に6連敗と、一度も勝てなかった。
仕切り7回目で立った。当時は仕切り制限
時間は10分だが、制限時間までいって立て
なかったではみっともないということから
時間前に立つ傾向があった。双葉山激しく
突っ張ると玉錦突き返して右四つになった
が、玉錦の左は万歳状態だった。双葉山は
左上手をがっちり取っていた。玉錦巻きかえ
にいくところを双葉山一気に出て、寄りたて
れば、玉錦たちまち土俵に詰まる。首をまい
てうっちゃりをみせるも、双葉山上手をはな
し、胸を押してあびせ倒した。
双葉山は残り2日間、横綱男女ノ川、大関
清水川に連勝して11戦全勝で初優勝した。
驚くべき双葉山の変貌であった。玉錦戦は
覇者交代の一番となった。これ以降玉錦は
双葉山に勝てなくなり、優勝することはなか
った。双葉山は16連勝したが、数字的にまだ
話題にはならなかった。全勝優勝した双葉山
は大関に昇進した。
(この項目続く)
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