呼出拓郎さんの退職がスポーツ新聞に小さな
記事で伝えられていた。暴行による処分で
去りゆく者は後をたたない。平成26年の春日
野部屋で兄弟子が弟弟子に顎を骨折する事件
は、処分によるものではないが、両者とも
すでに相撲界を去っている。
ところで、今十両で活躍する力士に旭秀鵬が
いる。この旭秀鵬の同期の力士が前相撲だけ
で、序ノ口の土俵に上がることなく亡くなっ
ているのだ。それも親方はじめ3人の幕下
の兄弟子による暴行死というショッキングな
事件であった。その力士の名は時津風部屋の
時太山である。
事件のいきさつはこうだ。17歳の時太山は
稽古や人間関係に悩み、脱走することがよく
あった。しかし、父親に説得され、やむなく
部屋に戻っていた。「僕いい子になるから」
と実家に帰ることを懇願したこともあった。
元双津竜の時津風はそんな新弟子に業を煮や
した。2007年6月26日、時太山を名古屋場所
用の稽古場でしごいた。ぶつかり稽古を30分
やらせるなど尋常でなかった。親方自らが
ビール瓶でなぐり、幕下の3人の兄弟子が
金属バットで殴打するなど凄惨を極めた稽古
となった。関取はこの日力士会のため誰も
いなかった。
意識を失った時太山は病院に運ばれたが、
1時間後に帰らぬ人となっていた。元双津竜
の時津風は、遺体はこちらで火葬してお戻し
しましょう、と遺族に申し出、あまりの非
常識ぶりに親族を憤慨させている。遺体は
殴打の外傷が目立ち、死因特定のために解剖
された。
当時理事長だった北の湖は「人一人の命は
重い」と事件を深刻に受け止めていた。元
双津竜の時津風は自分への保身ばかりが目に
付いていた。時津風が解雇になったのは10月
5日であった。後に元双津竜の時津風と3人
の兄弟子の有罪が確定した。
この当時は暴行に関して特別な決め事や罰則
は、なかった時代である。それでも人が亡く
なるという悲惨さをけして忘れてはいけない。
暗くなるのが早い季節です。
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よしなに
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