鶴竜対逸ノ城戦は2分を超える熱戦となった。最初は
右四つで上手を取っていた逸ノ城も鶴竜のうまさに上手は
離れ、差し手は死んでいた。鶴竜は食い下がった。しかし、
それでも簡単には攻めきれない。そこに逸ノ城恐るべし、
今場所一番の強さを見た。だが、逸ノ城に攻め手はなく、
最後に土俵を割った。
鶴竜から見れば、先場所新入幕力士に敗れたという屈辱、
連敗はできないという負けじ魂、それが終始頭をあげず、
辛抱につながった。逸ノ城の巨体を相手に胸を合わせる
四つはできない。投げは打ち返しがあるので、寄りに徹
したことが勝因である。鶴竜のうまさが光った。
今後両者の対戦が楽しみになってきた。今場所の横綱・
大関は逸ノ城の力を封じる戦法に出てきた。鶴竜も例外
ではない。だとしたら、逸ノ城がこれに対抗するには
立ち合いを制する必要がある。それには鋭く踏み込む、
場合によっては突き離しといて有利に組むなど工夫が
必要である。
初日、日馬富士に負けたとき「化け物なら普通にできる
だろうが、自分は人間だからいろいろあるっす」と言った
が、この日負けたとはいえ、不利な体勢で持ちこたえた
逸ノ城は容易ならざる怪物の印象をひときわ強くした。
<写真は場所後順次掲載予定>