北の富士さんの訃報が伝えられた。解説者として登場しなくなって
久しい。北の富士の相撲をこの目で見てきた一人として、このこと
は場所後に触れることにしたい。
優勝争いは佳境に入ってきた。1敗3人の一人平幕の隆の勝が関脇
霧島と対戦した。隆の勝の1敗は豪ノ山によるものである。前日は
大関大の里に勝利した。流れからすると同じ1敗の大関琴櫻か大関
豊昇龍と対戦するのが当然であった。日程は残りわずかしかない。
霧島は成績が5勝6敗と星があがっていない。
しかし、相撲はわからない。霧島は動きと攻めで隆の勝を翻弄した。
意外と言えば意外な展開であった。最後まで離れての相撲で霧島が
隆の勝を押し出した。隆の勝は痛い2敗となった。13日目は結びの
一番で1敗大関琴櫻と激突する。
1敗豊昇龍は小結正代と対戦した。地元の声援はある正代だが、豊
昇龍にとってそれほど難しい相手ではない。実際一方的な相撲で正
代を正面土俵に寄り切った。明日13日目から大関同士の対戦が始ま
る。まず、大の里とぶつかる。先場所負けているだけに注目の一番
になる。
琴櫻は関脇大栄翔と対戦した。いやな相手だが、離れて攻め込んだ
のは琴櫻だった。最後押し出しで決めた。琴櫻の充実した相撲は久
々である。まだ優勝がないだけにビッグチャンスである。
結びの一番は4敗大関大里と再入幕3敗尊富士戦になった。この一
番の意義は見いだしにくい。大の里は2ケタ勝てなければ、新大関
の出だしとしては失敗である。尊富士も3敗で大関戦での意義は失
われた。隣のお客さん親子が帰るなかで、あたり勝った大の里の勝
利となった。いつもの迫力でなかったことを付け加えておく。
ここまで1敗琴櫻、豊昇龍の両大関。2敗が平幕中位の隆の勝とな
った。もう一波乱あるのか、3人なかから優勝者がでるのか、残り
3日となった。