チケットは超スピードで完売した五月場所。そんな
なかで初日が始まった。館内では顔なじみと3、4
人出合った。これからの場所中に一緒に観戦する仲
間である。それにしても場所の感覚が離れていただ
けに不慣れな部分が出てくる日であった。
チケット完売とは裏腹に土俵は思いもかけない展開
が待っていた。1横綱4大関がそろって黒星スター
トしたのだ。これ以上ない最悪の大荒れである。
霧島、貴景勝、琴櫻、豊昇龍、照ノ富士とバタバタ
と敗戦を繰り返していった。大鵬だったらストッパ
ーになっていた。それが使命だからだ。1横綱4大
関の敗因ははっきりしている。先に攻められている。
力負けしている。
相撲は自分が力を出せる体勢をいかにつくるかのし
のぎ合いである。1横綱4大関は自分の体勢をつく
るどころか崩されていた。大関霧島は豪ノ山にいっ
ぺんにもっていかれた。押し相撲の大関貴景勝は逆
に平戸海に押しで圧倒された。
大関琴櫻は大栄翔と押し合いになり、押し負けた。
大関豊昇龍は熱海富士に上手を取れずに右四つ。豊
昇龍の下手投げは食わないとばかりに腰をおしつけ
つぶすような上手投げを決めた。横綱照ノ富士の相
手は小細工のない大の里である。結果は照ノ富士の
馬力負けの相撲になった。
横綱・大関は0勝5敗の初日となった。2日目以降
横綱・大関は、誰が立ち直ることができるのか。初
日暗転のスタートとなっただけににわかに想像でき
ない。