引退した逸ノ城は長い間湊(元湊富士)部屋の看板
力士であった。湊部屋は幕下力士がいないから看板
力士は当分生まれない。諒兎馬が幕下にいたが、現
在は三段目筆頭である。逸ノ城は部屋の看板力士と
して関取生活は53場所に及んだ。その逸ノ城はどの
ような幕内人生を歩んできたのか、振り返ってみよ
う。
実力制番付になって史上最高の新入幕力士、それが
逸ノ城である。2横綱2大関と対戦して13勝2敗の
好成績である。横綱鶴竜を倒した。あわや新入幕優
勝かと思わせるほどの快進撃だった。
体重199キロ(当時)は重過ぎるイメージがあるが、
逸ノ城は動ける範囲である。取り口は右四つ寄り。
北の富士、大錦は入幕2場所目で小結だが、逸ノ城
の入幕2場所目は小結を飛び越え一気に関脇であっ
た。初土俵から5場所目というスピード出世だ。
だが、新入幕で派手に活躍しすぎたため、狙い撃ち
にされた。2019年は42勝48敗と勝てなくなってきて
いた。それでもこの年、関脇・小結に4場所在位し、
横綱白鵬に勝っている。
2016年は低迷期である。2016年は上位2場所で、34
勝しかできなかった。低迷は2017年も続いた。2017
年は勝ち越してはいるものの、上位はわずか1場所
であった。
逸ノ城の復活は2018年であった。この年は関脇4場
所、小結1場所務めている。五月場所白鵬に2勝目
の勝利を成し遂げた。この年、横綱稀勢の里には2
勝している。通算3勝目である。ただ、三賞にはつ
ながらなかった。三賞は新入幕の場所のみであった。
(この項目続く)