五月場所、大相撲の景色が変わった。まず、
検温が目立たなくなった。次にお茶屋さんが
復活した。出方さんが行き来するようになっ
た。酒もいいようで飲んでいる方を見かけた。
軽食なら黙食でいいようである。それでいて
声援はだめで、消毒・マスクは従来通りと
いうから戸惑ってしまう。
さて、結びの一番は波乱含みとなった。照ノ
富士の相手は苦杯をきっしている大栄翔。
相撲は苦手意識そのままで、照ノ富士は東
土俵に追い詰められ、棒立ち。こらえること
なく土俵を割った。照ノ富士はこれまで苦戦
しても驚異的な粘りでしのいできた。粘る力
=粘力が照ノ富士から消えた。
栃錦の相撲への執念は恐るべきものであった。
7連敗から8連勝したことがあった。高熱の
なか、吉葉山に二枚蹴りを決めたことがあっ
た。初日に負けてよく優勝した。初日負けて
も「ああ、今場所は14勝1敗か」と思ったと
いう。
今は巡業や出稽古がない。本来なら照ノ富士
は大栄翔を引っ張り出して三番稽古を納得
するまで繰り返すべきであった。それができ
ないところに今の大相撲の限界がある。千代
の富士は苦手琴風ととことん稽古して克服
した。
照ノ富士は2日目以降大丈夫なのか。こんな
負け方をすると1敗だけでは済まないかも
しれない。やすやすと負けるようだと再び
休場に追い込まれる。それは一転して力士
人生がピンチに追い込まれることを意味する。