七月場所の安青錦の活躍は素晴らしかった。大関琴櫻を内無双、横
綱豊昇龍を渡し込みで勝利した。初の上位で11勝4敗をあげ、金星
も獲得した。初の上位戦だが大関琴櫻戦は対戦経験があった。技能
賞を受賞したのは当然であった。これが入幕3場所目であったから
驚異である。
安青錦は十両から5場所連続2ケタ勝利中である。それだけではな
い。幕下以下の最低成績は6勝1敗なのである。幕下以下は6場所
の在位で4敗しかしていない。あまりのスピード出世に幕下のホー
プで取り上げる暇がなかった。

安青錦こそ明日のホープにふさわしい。将来の大物になる可能性を
秘めている。最初にそう感じた力士は大鵬である。大鵬は入幕2場
所目の初上位では負け越したが(福田山戦の誤審が響いた)入幕4
場所目に小結、6場所目に関脇で初優勝している。
安青錦は横綱・大関の手薄時代だけに、優勝も狙える。七月場所は
最後まで優勝を争った。もう一歩届かなかったが、貴重な経験であ
った。大関の有力候補であることは間違いない。それも横綱が狙え
る大関である。

安青錦が打倒しなければならない相手が大の里である。大の里に一
気に攻め込まれるとなすすべがない。対抗するには鋭く踏み込み、
前みつが取れればなおいい。この取組は初日に組まれる可能性があ
る。九月場所の安青錦への期待は膨らむ。