クンロク大関という言葉がある。これは9勝6敗の成績しかあげら
れない大関のことである。だからクンロク大関は大関を揶揄した言
葉である。ところが琴櫻はここ3場所8勝7敗を続けている。クン
ロクならねハチナナ大関なのである。

大関昇進後は3場所連続2ケタ勝利だった。8勝は大関4場所目に
あった。ただし翌場所は14勝1敗で優勝を成し遂げた。しかし、翌
場所は5勝10敗と大敗した。ここで素朴な疑問がわく。琴櫻は実力
者なのか弱い大関なのか。
優勝は過去の栄光で現在は弱い大関とみなすのが自然である。ただ、
現在横綱・大関は3人しかいない。いわば手薄の状態である。それ
で弱い大関では困るのである。七月場所の千秋楽結びの一番大の里
対琴櫻は消化試合のような一番だった。

琴櫻は現在27歳である。十一月場所中に28歳になる。老け込む年齢
ではない。武蔵丸・日馬富士・鶴竜は28歳のとき横綱になった。武
蔵丸は大関在位32場所である。これは祖父琴櫻とタイ記録である。
大関は受難の中間管理職とみなされたことがあった。横綱には頭を
押さえられ、下からは突き上げられる。強い横綱は3人、有望な若
手は3,4人いた。また、関脇の強い場所は面白いと言う。しかし
大関の強い場所はもっと面白いのである。琴櫻は場所を盛り上げる
べき存在であり、立場なのである。