豊昇龍の最高成績は昨年十一月場所の13勝2敗である。ほかに優勝
成績は関脇時代の12勝優勝と去る一月場所の12勝優勝である。優勝
決定巴戦の2番を加えた評価をした者がいたようだが、そもそも13
勝以上していたら不要であった。おかしな評価は評価を誤る。

こうしてみると豊昇龍には未知の領域がある。それは14勝、全勝で
ある。おじさんの朝青龍は横綱になるまでに14勝優勝2回、関脇の
とき12勝をあげている。ただ、大鵬は横綱になるまでに14勝以上の
成績はなかった。関脇の13勝優勝、大関の13勝・12勝の連続優勝で
ある。ほかに新入幕と関脇時代の12勝3敗があるだけだった。
大関時代の豊昇龍は取りこぼしが目立った。これが解消できない限
り14勝、全勝に到達できない。大鵬は横綱5場所目で14勝優勝した。
豊昇龍がいつ14勝以上の優勝を達成できるか、見所の一つである。

未知の領域はまだある。それは新横綱の優勝である。大正15年の公
式優勝制度以降の新横綱優勝はどれくらいあるのか。玉錦から照ノ
富士まで42人中以下の7人である。
双葉山 13勝
東富士 10勝2敗1痛み分け
大鵬 13勝2敗
隆の里 15勝
貴乃花 13勝2敗
稀勢の里13勝2敗
照ノ富士13勝2敗
双葉山は69連勝の途上であった。新大関と新横綱の両方で優勝して
いる。隆の里は唯一の新横綱15戦全勝優勝である。稀勢の里は新横
綱優勝が最後の優勝となった。

新横綱優勝率はわずか17%である。ただ豊昇龍には先輩横綱がいな
い、という有利さがある。心配もある。行事に振り回される点であ
る。豊昇龍がどういう結果を残すか、もう一つの見所である。