1敗大の里。2差つけて残り2日間。大の里が優勝できないケース
は14日目、千秋楽負けてなおかつ3敗優勝決定戦でも負ける場合で
ある。これは机上の理論に過ぎない。2日目から11日目まで敵なし
の相撲を取ってきた大の里にはありえない、考えられないケースで
ある。
14日目の豊昇龍は不戦勝のみで勝ったことはない。また豊昇龍は負
ければ7勝7敗で千秋楽しびれる展開になる。それは避けたい。そ
れだけに気合は入っていた。
両力士の勝負は立ち合いで決まった。大の里の激しい突きに豊昇龍
はあっという間に正面土俵を割った。大の里は今までの大の里では
なかった。大の里は2回目の優勝を成し遂げた。千秋楽を残してい
るが、大関昇進は濃厚である。新入幕から5場所を要しての大関で
ある。まさに驚異の新人である。
後は横綱になれるかである。学生出身の横綱は輪島だけである。半
世紀以上を過ぎて学生出身の横綱は誕生していない。さらに輪島の
優勝回数14回を超えられるか。大の里はこれからのテーマでも話題
は尽きない。
大の里と優勝を争えなかった責任は霧島にはない。琴櫻・豊昇龍の
大関にある。横綱不在のなか存在感をしめせなかった。両大関とも
よく負けた。今場所だけではない。毎場所のことである。
鍛えなおしてもう一度という期待は微塵もない。負けて覚える相撲
かな、ということばがある。大関にはこの言葉はあてはまらない。
下位によく負ける大関人生だけが繰り返されてきた現実がある。