照ノ富士は間垣部屋から伊勢ヶ濱部屋に移籍
してから急速に力をつけてきた。三月場所
から豪栄道・琴奨菊を超える実力を身につけ
てきた。さらに三月場所は横綱白鵬に勝って、
自信をつけた。
その照ノ富士は五月場所、初優勝と大関昇進
を決めた。白鵬・日馬富士・鶴竜の3横綱、
稀勢の里・琴奨菊・豪栄道の3大関はいずれ
も全盛期を過ぎている。閉塞状態の中、若く
て成長途上の平成生まれの新大関が誕生した
ことは新しい息吹を感じさせた。
照ノ富士の大関昇進は入幕後所要8場所で
あった。これは驚異的なスピードである。
昭和33年年6場所制になってから柏戸の12場
所、大鵬の6場所、輪島11場所、北の湖13場
所、千代の富士19場所、貴乃花17場所、朝青
龍10場所、白鵬12場所と比較すると照ノ富士
がいかにすばらしいかがわかる。
照ノ富士のよさはまず腰がいい。よく両差し
になられるが、それでも戦える。それも豪栄
道クラスを相手にしてである。前屈でないと
もたない腰は多いが、照ノ富士はそっても
もつ腰である。右四つで胸を合わせる取り口、
これが相撲に大きさをあたえる。頭をつけ、
下手中心の相撲は取らない。今後の稽古次第
では玉の海のような安定した相撲も可能に
なる。
照ノ富士の弱点は調子をおろす相撲が見受け
られることである。五月場所は佐田の海、
徳勝龍といった思いがけない相手に負けて
いる。それを繰り返してはいけない。新大関
のマイナス要因はほかにもある。ひいき筋に
連れまわされる点。俗に言う、ひいきの引き
倒しである。さらに、これからは対戦相手が
思い切った相撲を取りにいく
2015年、新大関照ノ富士は成長途上であり、
横綱の可能性を秘めていた。
期待される大関だった照ノ富士は5年半を
経過して、再び大関を目指している。関脇
以下で3回優勝すれば新記録になる。また、
ゼロから復帰した大関の優勝は初めてのこと
になる。2021年、再び栄光を勝ち取っていた
だきたい。
(この項目終わり)
鬼滅の刃最終巻が発売されます。
興味深いテーマをこれからもお届けします。